熟年離婚～年金分割まで

自由が欲しくて離婚したのに、その先に待っていたのは想像以上の孤独と苦労でした。私は61歳の直美です。昨年夫と熟年離婚しました。離婚する際にはいろいろと揉め、その労力も大変でした。離婚した当初は、自由な生活が始まると期待しかありませんでした。何もしない夫の世話をすることもなく、自分の趣味に没頭し、好きなことをして暮らせると楽しみにしていたのです。でも、現実はそんなに甘くありませんでした。若い人たちの離婚とは違って、私たちのような熟年離婚ではお金の問題が大きくのしかかります。

私が離婚を決意した理由は、夫が定年後、昼からお酒を飲むようになり、まるでアル中のような状態に陥ったことです。酒癖も悪くなり、毎日夫の酔った姿を見るたびに怒りがこみ上げてきました。夫の生活パターンはこういうものでした。朝はもちろん起きてきません。いつ起きてくるかわからないから一応朝ごはんも用意しています。大抵昼前に起きてきて、朝昼兼用のご飯を食べながらお酒を飲みます。そのままダラダラテレビを見ながら夕方まで過ごします。そして夕ご飯を食べ、またダラダラとお酒を飲んで、夜中まで起きています。私は朝から掃除、洗濯、炊事、買い物など１日中動き回っています。初めの頃は長年働いてくれたんだからと大目に見ました。でも友人に言わすとそれが間違いだったそうです。やはり定年後はルーティンを作らないと駄目とのことでした。出来る家事を分担し、生活リズムの入れなかったからこうなったのだと言われました。もちろん黙っていたわけではありません。ただ、夫は元々酒癖が悪かったのです。結婚当初の優しかった夫の姿はどこにもなく、毎日酔っぱらっているので日に日に彼への嫌悪感が募るばかりでした。一応ほぼ１年近くは我慢しました。ただ、最後の方では暴言や暴力一歩手前までいくことがあり、私はもうこれ以上一緒にいるのは無理だと思い、離婚を決意しました。

娘や息子たちはお母さんの好きにしていいよと応援してくれましたので、そのように動きました。離婚の際、財産の分け合いが一番大きな問題となりました。夫は財産を渡すことを断固拒否しました。長年働いてくれたのにはもちろん感謝しています。でも私も家を守って子供を育てました。でも彼は少しも分けてあげようという気持ちが無かったのです。それどころか、離婚したら生活が苦しくて戻ってきたくなる。そうなっても俺は受け入れないぞと脅してくる始末でした。私は不安と不眠の日々を過ごしました。どれほど話し合っても解決の糸口は見つからず、最終的には知り合いのつてを使い、年金分割のために手続きを踏むことになりました。財産については、子供達の為にも実家は残してあげたいので、預金の40％をもらう形で話がついたものの、預金自体そこまで多くなく、今後の生活に大きな不安が残りました。

法律の専門家に依頼して年金分割を申請し、なんとか分割が受け入れられました。そして月額約3万円の年金を追加で受け取れるようになりました。しかし、この3万円の上乗せがあっても、離婚後の生活は決して楽ではありません。正直もっと多いと思っていました。
私と夫の年金が合算してその半分がもらえると思っていましたので想定外でした。

そのため、家を借りたくてもお金が足りず、離婚後は90歳近い母の実家に戻りました。母は喜んでいましたが、足を骨折してからはほぼ動けなくなり、結局は施設に入ることになってしまいました。その為、今は一人で実家に住んでいます。さらに実家の家自体も築60年ほど経っており、いつまでこの家で暮らせるのかという不安が常につきまとっています。

離婚してから、息子や娘が訪ねてきてくれることが増えました。今の私の数少ない楽しみです。過去の思い出が今の寂しさを少し和らげてくれていますが、それでも心の中には虚しさが残っています。
家族が来る以外の楽しみとしては、自分でお菓子を作ることです。動画を見ながら安くて美味しいお菓子を作るのが、毎日の小さな喜びです。大きなものは作れませんが、自分で作ったお菓子を食べる時間はとても幸せなひとときです。

離婚後、私の生活は決して楽ではありません。年金が月額3万円増えたとしても、生活していくには全然足りないのです。そのため、週に3回ヘルパーのパートに出ていますが、正直、いつまで働けるのか不安です。母が入った施設で働けているので、まだまだ頑張りたいですが、最近体力も落ちてきているなと実感しています。介護の仕事とは肉体労働で本当に大変だなと思います。もっと若い人が働きたくなるような対策をして欲しいものだなといつも思っています。

60歳を過ぎてからの一人暮らしは本当に大変です。この年になると、逆に婚活が必要かもしれません。今の少ない年金では、一人で暮らしていくにはあまりにも生活が苦しすぎます。だから、皆様ももし熟年離婚を考えている方がいるなら、ぜひ慎重に考えてほしいのです。
婚活して夫婦として暮らせなくても、仲の良い友達同士で暮らせるなどそういう制度があっても良いのではないでしょうか。

熟年離婚は確かに自由を得られるかもしれませんが、それ以上に寂しさとお金の問題がついてきます。離婚した後、もう一度やり直すことは難しいのです。私のような苦労を少しでも減らせるよう、時間をかけてゆっくり考えてくださいね。