PR

義父~初めて会った時から…

シニアの恋愛は60歳からチャンネル様シニアの話

私の名前は田中かおり、42歳です。私は夫と結婚してすぐ、義父である保さんと同居を始めました。建前は、家族として助け合うため。けれど、その裏に私だけの秘密があるのです。

それは――保さんのことを愛しているということ。一人の男性として、どうしようもなく惹かれているのです。自分の中でこの気持ちを認めるたびに、心の奥底に冷たい波が押し寄せてきます。「いけない」「おかしい」「間違っている」と分かっているのに、それでもどうしようもなく彼を求めてしまうのです。その事実が、私自身を呪うように責め立ててくるように。

保さんと初めて会ったのは、夫との結婚が決まった頃でした。彼に紹介されて義実家を訪ねた日のことを、今でもよく覚えています。玄関先で「初めまして」と頭を下げた私に、保さんは穏やかな笑顔を見せながら「よろしく」とだけ言いました。その声が妙に落ち着いていて、初対面なのに不思議な安心感を覚えました。

ただ、その瞬間に胸の奥で何かが微かに震えたのも確かでした。ビビビッと軽い稲妻のような、会った瞬間に彼に惹かれていたのです。あぁ、この人と一緒にいたい。一緒にいなければいけない。そう思ってしまったのです。変な言い方ですが、魂が、体が、心が、彼のそばにいなければと訴えるほどの衝動にかられました。

結婚後、同居が始まると、日々の生活の中で彼への想いが徐々に膨らんでいきました。保さんと顔を合わせるたび、彼の何気ない仕草を見るたび、私の心はざわめき、落ち着かなくなる。どこかで「こんな気持ちはいけない」と理性が警鐘を鳴らしているのに、その警鐘すら私の心を止めるには至りませんでした。

私が同居を提案したのは、義母が亡くなった後のことでした。「一人で何かあったら心配だよ」と夫や保さんに言いましたが、それは表向きの理由。本当は、保さんが一人でいる姿を見るのが辛かったのです。寂しそうに食卓に一人座る彼の姿を想像するたび、胸が苦しくなりました。そして、そばにいたい、支えたいという衝動を抑えることができなかったのです。

保さんは、最初は反対しました。けれど、「一人暮らしだと病気になった時に心配だし」と懇願する私に、最終的には折れてくれました。そして、私の願いどおり同居が始まりました。

けれど、その日々は私にとって幸福であると同時に、地獄の入り口でもありました。保さんとの距離が近くなればなるほど、彼への想いは募っていきました。それがどれほど罪深いことか理解しているのに、心は自分を裏切り続けるのです。

夕食の時間が私にとっての至福の時でした。キッチンで料理をしているとき、保さんが「かおりちゃん、今日も美味そうだね」と微笑む。ただそれだけのことが、私にとって一日の救いでした。その笑顔を見ただけで、まるで世界中のすべてが報われたような気持ちになったのです。

「どうしてこんなにも嬉しいんだろう」――心の中でそう呟きながらも、保さんが食事を美味しそうに頬張る姿を、いつも目で追ってしまう自分がいました。彼が満足してくれるだけで私の胸が熱くなる。けれど、その感情が夫や保さんに悟られることだけは、絶対に避けなければならないのです。

ある夜、夫が出張で家を空けていた時のことでした。保さんと二人、リビングでテレビを見ながら、なんとなく「お義父さんって本当に優しいですよね」と言ってしまったのです。特に深い意味はない――そう言い聞かせながらも、口をついて出た言葉に自分自身が驚いていました。

保さんは少し照れたように微笑み、「かおりちゃんが頑張ってるからだよ」と返してくれました。その一言が私の心を大きく揺らしました。彼の声が頭の中に残り続け、胸の奥がじんわりと熱くなる。目を伏せてテレビに視線を戻すのがやっとでした。

その夜、布団にくるまりながら、私は自分の気持ちに向き合わざるを得ませんでした。この想いは消えない。どれだけ否定しても、どれだけ押し殺そうとしても、私の心は彼を求め続けているのです――。

翌日から、私は保さんとの距離を意識するようになりました。二人きりの時間を作らないようにし、必要最低限の会話しか交わさない。それが自分のためだし、何より保さんのためだと思いました。

けれど、ある日キッチンで洗い物をしている私に、保さんが声をかけてきました。

「かおりちゃん、最近どうしたんだい? 何かあったのか?」

その優しい声が私を容赦なく揺さぶります。振り返ると、心配そうな顔がそこにありました。その瞳に見つめられ、胸の奥で抑えていたものが溢れ出しそうになる。

「いえ、なんでもないんです。ただちょっと疲れているだけで……」

精一杯、言葉を紡ぎ出しました。それ以上話すと、この気持ちが漏れてしまいそうだったからです。保さんはそれ以上何も言わず、「無理しないでね」とだけ言って去っていきました。その背中を見送るたび、私は罪悪感と恋心に押しつぶされそうになります。

ふと、窓の外を見ると、庭の木々が夜風に揺れていました。その音が妙に耳に残り、私は洗い物をしていた手を止めてしまいました。皿をそっと置いて、静かに息を吐きます。

――私は、このままでいいのでしょうか。

罪悪感と、それでもどうしても消えない想い。この気持ちを誰にも知られないように抱えたまま、私はこれからもこの生活を続けていくのです。平穏を壊すわけにはいかない。夫にも、保さんにも――そして私自身にも、その資格はありません。

「これからも、こうしてみんなで仲良く暮らしていけるといいな」

保さんがそう言った時の声が、今も頭の中で繰り返されます。その言葉の本当の意味が何なのか、それを深く考えることが怖いのです。ただ、あの声の響きに胸が温かくなる一方で、それ以上に冷たくなる自分を感じました。

誰にも知られることのない、この秘密。この想いが、これからの私に何をもたらすのか――考えようとしても答えは見つからないまま、ただ夜が静かに更けていきます。

YouTube

現在準備中です。しばらくお待ちください。

タイトルとURLをコピーしました