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パート先の方との一夜の関係

シニアの恋愛白書チャンネル様シニアの話

私は58歳の主婦、孝恵です。普段はスーパーでパートをしています。毎日、同じような仕事と家庭のルーティンの繰り返し。家では夫と二人きりの時間がほとんどですが、ここ最近は少し退屈を感じるようになっていました。私たちはもう長い間、一緒に暮らしてきましたが、特にこれといった刺激もなく、ただただ日々が過ぎていくような感覚です。

夫とは、数年前に大きな危機がありました。当時、彼が会社の部下と浮気をしていたことが発覚したのです。私にとって、それは本当にショックな出来事でした。信じていた人に裏切られたという事実に耐えられず、一時は離婚を真剣に考えたほどです。しかし、夫は全力で謝罪してきました。何度も頭を下げ、もう二度としないと誓ってくれました。その姿に心を動かされ、結局離婚はせずにこのまま関係を続けることにしたのです。それから、夫は私に対してとても気を遣うようになりました。以前はこんなに優しくなかったのに、今では些細なことにも敏感に反応して、私が嫌がりそうなことは何一つしないように努めています。でも、その気遣いがかえって私を息苦しくさせているような気がしていました。

そんな中、パート先に新しいバイトの男性が入ってきました。彼の名前は村上さん、50代前半の爽やかな印象の男性です。年下の彼ですが、どこか落ち着いた雰囲気があり、初めて会った時から話しやすそうな人だな、という印象を持ちました。私はパートの中でもベテランなので、彼に仕事を教える担当を任されることになりました。正直、最初は特に期待もしていませんでしたが、彼と話をしていくうちに、次第に彼に興味を持つようになりました。

村上さんは、よく話しかけてくれました。休憩中や作業の合間に、「孝恵さんはどうしてここで働いているんですか?」とか、「昔はどんな仕事をしていたんですか?」とか、さりげない質問をしてきてくれました。その質問の仕方が、無理に話題を作ろうとしている感じではなく、自然に話を引き出してくれるような感じで、私も気づけば彼との会話が楽しみになっていました。彼は笑顔が素敵で、話しているとつい見惚れてしまうこともありました。そんな自分に驚きつつも、久しぶりに感じる心のときめきに、私は戸惑っていました。

ある日のパート帰り、私は村上さんと一緒に仕事を終えました。その日はいつもよりも遅くまで作業をしていたため、外はもう真っ暗でした。「送って行きましょうか?」と、彼が声をかけてくれた時、私は一瞬、迷いました。けれど、気づけば「お願いします」と答えていました。車に乗り込むと、狭い空間の中で二人きりになるという状況に、私はなぜか緊張してしまいました。助手席に座り、シートベルトを締めると、ドキドキが止まらなくなりました。

車の中で、村上さんはいつも通り穏やかに話しかけてくれました。仕事のことや、今度のシフトの話など、特に特別な話題ではありませんでしたが、彼の声が心地よく感じられました。私も自然と会話に応じながら、ふとした瞬間に彼の横顔を盗み見る自分に気づきます。彼の真剣な表情や、笑った時の目元のシワが、どこか魅力的に見えてしまっている自分がいました。自分でもこんな気持ちになるなんて、想像もしていませんでしたが、今はただ、この瞬間をもう少し味わっていたいと思いました。

「家までお送りしますよ」と言われ、車がゆっくりと動き出しました。私は緊張しながらも、少しだけワクワクしている自分に気づきました。この気持ちが何なのか、まだはっきりとは分かりませんが、今はただ、この時間が続いてほしいと思ってしまいました。

車の中、二人きりの空間にいると、いつも以上に緊張感が高まりました。普段は話好きな私ですが、村上さんの隣では妙に口数が少なくなってしまいます。彼は相変わらず穏やかに話を続けていましたが、私の心はどんどんざわついていました。「何を話せばいいんだろう」と考え、無言の時間が流れていく中で、まるで時間が止まったように感じました。

「どうしたんですか?緊張してる?」と村上さんが笑いながら言いました。その言葉に、思わず恥ずかしくなってしまい、軽く首を振ると、彼はそのまま優しく微笑んでくれました。その微笑みが、どこか心に響きます。彼の笑顔を見ていると、少しずつ緊張が解けていく気がしました。

「いや、なんでもないです。村上さんは、こうやってよく送ったりするんですか?」と、私は話を振りました。彼は頷きながら、「いや、ほとんど無いですよ。孝恵さんと一緒に帰れるのは嬉しいですね」と言ってくれました。そんな言葉を聞いて、私の心はドキドキと高鳴りました。彼が私との時間を大切に思ってくれているのだと感じられる瞬間でした。

しばらくの間、他愛のない会話が続きましたが、気づけば私の気持ちが彼に傾いていることを自覚していました。このまま村上さんと一緒にいたい、もっと彼のことを知りたいという気持ちが溢れてきていました。そんな時、ふと口をついて出てしまったのです。「あ、あの…帰りたくないなって、思ってしまいました」と。

言った瞬間、我に返り、すぐに「ごめんなさい、そんなことは…」と慌てて訂正しましたが、村上さんは「じゃあ、静かになれる場所に行きましょうか…」と穏やかな声で言いました。驚いた私は、一瞬何を言われているのか理解できませんでしたが、その言葉が心に強く響きました。これが、私が求めていた瞬間なのかもしれない。自分の心の奥底から湧き上がる感情に身を委ねることができるのではないかと思いました。

村上さんの提案に従い、彼の車は静かな公園の方へ向かいました。車が停まると、外は静寂に包まれ、星空が広がっていました。私は彼に誘導されるまま、彼と一緒に外に出ました。何かが変わってしまう瞬間を感じながらも、心は高鳴るばかりです。

彼と並んで立ち、星を見上げると、何とも言えない緊張感が流れました。村上さんの目が私の方を向いていて、ドキドキがさらに加速します。「星、きれいですね」と彼が言いましたが、その言葉は私に届く余裕もなく、ただ彼の存在に圧倒されていました。心の中の葛藤とともに、このまま彼との距離が縮まることを願っている自分がいました。

そんな時、村上さんが近づいてきて、私の手を優しく取りました。「孝恵さん、少しドキドキしてますか?」彼の言葉に、思わず頷くと、彼はそのまま私を見つめてくれました。目と目が合うと、まるで時間が止まったような感覚に襲われました。次第にその距離が縮まり、彼の顔が近づいてきます。心臓が爆発しそうなくらい高鳴り、私は抵抗することができませんでした。

村上さんとの一線を越えてしまった瞬間、私は確かに彼に対して本気になっている自分に気づきました。これが禁じられた果実なのかもしれないと頭の片隅で思いつつも、その時の感情は抑えきれませんでした。彼と一緒にいることで得られる充実感や、愛おしさを感じていました。

しかし、翌日、パート先に村上さんは来ませんでした。気になり、同僚に尋ねると、「村上さん、急に辞めたみたいよ。理由は一身上の都合って言ってた」と言われました。頭が真っ白になり、信じられない気持ちが広がりました。彼の連絡先にメッセージを送っても、全く反応がありません。私の心は、ただ遊ばれただけだったのだと痛感しました。いやでもあの時はたしかに…

考えても結局彼の真意はわかりませんでした。ただどうしてこんなことになってしまったのか、胸が苦しくなります。自分の気持ちが彼に向かっていたのに、あの瞬間が本当に特別だったのか、ただの夢のような出来事だったのか、現実に戻されることで不安と後悔が押し寄せてきました。私の心の中で、村上さんとの時間が輝いていた分だけ、今はその反動に苦しむことになったのです。でも一つわかったことはやはり浮気なんて関係で実る恋などないということです。夫と同じことをしてしまった…

私たちは結局似た者夫婦なのだと思いましたが、だから引き合うのかもしれませんね…

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