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夫の単身赴任。今はすごく寂しい

シニアの話シニアの馴れ初めチャンネル様

私は京子、60歳の主婦です。長年夫と一緒に生活してきましたが、最近はお互いの気持ちがすれ違い、険悪な日々が続いています。夫の和夫は私よりも若い58歳で、仕事の忙しさやストレスを家庭に持ち帰り、私に当たることが多くなっています。

毎日の会話は、言い争いいや罵り合いのようです。どうしてお互い好きで結婚した相手なのに、生活していくとここまで険悪になってしまうのでしょうか。本当に不思議で仕方ありません。そして私が一番苦痛な時間があります。朝食のテーブルでの無言の時間が一番辛いんです。私が朝食を作りながら、夫が新聞を広げて黙々と記事を読みふける姿を見ていると、心がどんよりと重くなります。和夫は「今日も忙しいから、早く出かけるよ」と言い、食事を残したまま外へ出て行くこともしばしば。私も「少しは食べてから行ってよ」と返すのですが、その言葉はいつも空回りです。

言い争いが始まると、お互いに言いたいことを言い合い、結局は冷たい沈黙が続くのです。それでも、そんな私たちの生活に大きな変化が訪れました。和夫が突然、転勤が決まったと言い出したのです。今度の勤務地は県外で、なんと2年間の単身赴任。最初は驚きましたが、次第に心の中で小さな喜びが芽生えました。夫がいない生活が始まるなんて、私にとっては思いもよらないチャンスでした。私が好きなことを自由にできる時間ができるのだと、心がウキウキしてきました。こんなことがこの年齢で味わえるなんて最高…その一言でした。

「この家は私が一人で守るから、大丈夫よ。あなたは向こうで仕事頑張ってきて!」と言うと、和夫は冷たく「どうせ俺に出ていけって話だろ?いつも仕事頑張ってなんて言わないのに変なやつだよ」と突き放しました。その言葉に一瞬イラッとしましたが、すぐに「そうだ、一人の生活が待っているんだ」と思い直し、心の中で勝ち誇った気持ちが芽生えました。和夫は出発の日、荷物をまとめながら「元気でやってくれ」と言いました。その言葉に私は思わず反発し、「あなたこそ、いい生活ができるといいわね」と言い返しました。

結局、二人の言い争いは、出発の最後の最後まで続きました。和夫が家を出る瞬間も、私たちの心にはいっさいの温もりがなかったのです。

しかし、彼がいなくなった瞬間、私の心には自由が広がりました。ようやく自分のために時間を使えるのだと思うと、嬉しくてたまりませんでした。夜は自分の好きなテレビを見たり、読みたかった本を一気に読んだり、久しぶりに自分のペースで生活ができるのです。朝は遅く起き、ブランチを作って好きな音楽を流し、窓の外を眺めながらのんびり過ごしました。

そんな毎日が続く中で、最初のうちは本当に楽しかったのですが、次第に少しだけ寂しさを感じるようになりました。和夫がいないことが、こんなにも心の中に隙間を作るとは思ってもいませんでした。あんなに険悪な日々を送っていたはずなのに、どこかで「一人って寂しいな」と思う瞬間があることに気づきました。

「あんな人でもいたほうがいいのか」と、時折考えるようになりました。もちろん、夫との関係は複雑で、心の中に渦巻く思いは一言では言い表せないものですが、それでも、彼がそばにいることの意味を少しずつ感じ始めていたのです。

夫が去った日から数週間が経ち、私は自由を満喫しながらも、彼の存在を意識することが増えてきました。もう一度、あの険悪な日々を乗り越えて、私たちの関係を見つめ直す必要があるのかもしれないと思いました。心の奥では、彼ともう一度向き合いたい、という気持ちが芽生えてきていることに気づいたのです。

和夫が赴任先に出発してから約2か月が経ちました。彼のいない生活は最初こそ楽しかったものの、次第に孤独感が強くなってきました。私は一人で過ごす時間を大切にしていたはずですが、ふとした瞬間に「彼がいたらどうだったのだろう」と思うことが多くなりました。

ある日、和夫が久しぶりに帰宅するという知らせがありました。心のどこかで、彼が帰ってきたらまた言い争いが始まるのではないかという不安もありました。しかし、同時に彼と再会できる期待感もあって、心が高鳴りました。久しぶりに彼に会えるという感覚は、私にとって特別なものでした。

和夫が帰ってくる日、私は朝からそわそわしていました。普段は忙しい彼が帰ってくるだけで、家の中に活気が戻るような気がしました。普段の自分なら、夕食に何を作るかなど気にもしなかったのに、今日は特別に彼の好きな料理を用意することにしました。久しぶりにキッチンに立ち、彼のために心を込めて料理をするのは、なんだか楽しい時間でした。

夕方、和夫が帰ってきた瞬間、思わず心臓が高鳴りました。ドアの音を聞き、振り向くと彼が笑顔で入ってきました。「ただいま」と言う彼の声に、思わず涙が出そうになりました。私の心の中には、彼の存在がもたらす温もりが広がっていました。

しかし、再会の喜びもつかの間、和夫は特に何も感じていない様子でした。「ただいま」と言った後は、疲れた表情でソファに座り込みました。私は少し心配になりながらも、彼を気遣って美味しい食事を出しました。彼が食事をしながらテレビを見ていると、私はそれを見守るだけで心が満たされていくような気がしました。

和夫は食事を終えると、「おいしかったよ」と笑顔を見せてくれました。その瞬間、私の心も温かくなり、また彼に仕えている自分を実感しました。普段の言い争いが嘘のように、穏やかな時間が流れ始めました。彼が帰ってきてくれたことで、私の心の中に安らぎが戻ってきたのです。

しかし、日が経つにつれて、和夫がまた赴任先に帰る日が近づいてきました。私の心は不安でいっぱいになりました。「また一人になってしまうのだろうか」という思いが、頭から離れませんでした。そんな思いを抱えながら、彼との日々を大切にしようと決めました。

最後の夜、私たちは静かに過ごしました。いつもは喧嘩ばかりだったのに、今夜は何も言わずにただそばにいることが心地よかったです。そして、ふとした瞬間に、私は彼にしがみつきました。「え?なに?」と驚く和夫の顔を見て、心がドキドキしました。思わず「寂しかった…」と呟くと、和夫は少し照れくさそうに笑いました。

その瞬間、彼の腕の中に包まれる感覚が、私にとってどれほどの安心をもたらしてくれるかを改めて実感しました。和夫も私の気持ちに気づいてくれたのか、そのまま抱きしめ返してくれました。何年も過ごしてきたこの関係が、少しずつ変わっていくことを感じました。

その夜、私たちは久しぶりに心からのコミュニケーションを交わし、久々に夜の生活を楽しむことができました。お互いの体温を感じながら、忘れていた温もりを思い出しました。和夫が再び赴任先に戻った後、私たちの関係は変わっていきました。電話を毎日するようになり、離れていても心の距離が縮まったように感じました。

こうして、私たちはお互いの存在を再確認することができたのです。和夫がいてくれたからこそ、今の私がいるのだと気づきました。険悪だった日々の中でも、愛情は消えていなかったことを実感し、少しずつ関係を修復していく決意を固めました。これからの未来を一緒に歩んでいくために、私はもう一度彼との関係を大切にしていこうと思いました

こんなふうにまた関係が良くなるなんて…夫婦とは本当によくわからないものです…

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