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夫婦交換をしてみたら…

いつまでも若くスワッピング系

私はユリ、42歳の主婦。結婚して15年以上が経ったけれど、その年月はもはや心の重荷でしかない。朝、目が覚めるたびに夫と向き合うのが、ただの義務のように感じられてしまう。私たちはもう終わっている……ただ、誰もそれを口に出していないだけ。今朝も、夫は不機嫌そうに朝食を口に運んでいた。無言のまま新聞を広げ、その背中は私に冷たく向けられている。私は無理に笑顔を作って「おはよう」と声をかけるが、返事はない。まるで私はここに存在していないかのようだ。朝の静けさに、コーヒーを啜る音だけが無機質に響く。

結婚生活がこうなってしまったのは、もう数年前のこと。最初は些細な不満だった。例えば、夫が私の作った料理に一言も感謝を言わないこと。ただ無表情で食べるだけ。それが次第に、互いに無関心な態度へと変わっていった。私が話しかけても、彼は適当に相槌を打つだけ。次第に私は、何を話しても無駄だと感じるようになり、私たちの会話は消え失せてしまった。

私たちはもう一緒に暮らしている意味さえ見失っていた。生活の一部として互いを必要としながら、心はすでに別の方向を向いている。ただ、日々の惰性に流されてきた……それだけだ。そんな私を気遣ってくれたのは、夫の友人であり、私たちの仲人でもあった伊藤さんだった。最近、夫から私たち夫婦がうまくいっていないと聞いたらしく、突然電話をくれた。

「ユリさん、大丈夫かい?」伊藤さんの穏やかな声が電話越しに耳に届く。その優しさに思わず心が揺れて、私は抱え込んでいた思いをぽつりぽつりと語り始めた。夫との距離感、言葉のない日々、そして離婚を考え始めた理由を。

「……もう離婚するしかないと思っているんです。これ以上、修復は無理ですから。」

そう言い切った瞬間、少しだけ心が軽くなったように感じた。でも、次に返ってきた伊藤さんの言葉に、私は驚かされることになる。

「それなら、最後に一度だけ、夫婦交換を試してみるのはどうかな?」

一瞬、何を言われたのか理解できなかった。夫婦交換?そんなことをして、⭐️いったい何になるのだろう。頭が混乱して、無意識に言葉が口をついた。

「伊藤さん、それはどういう……?」

「いや、無理にとは言わないよ。ただ、こういう方法で関係が改善した夫婦を何組か知っているんだ。少し荒療治かもしれないけど、試してみても損はないと思う。」

彼の提案は、まるで冗談のように聞こえた。しかし、彼の真剣な口調が、それが本気の提案であることを伝えてくる。内心、私は困惑していた。夫婦交換なんて聞いたこともないし、そんなことをして私たちの関係が本当に良くなるとは思えなかった。それに、相手は伊藤さん夫婦だ。彼の妻がどう感じるかを考えると、気が引けた。

「……それで、本当に何かが変わるとは思えないんですけど。」

「確かに、そう簡単なことじゃない。遊びに行くだけでもいいんだ。違う人を見るだけでも、新しい発見があるかもしれないよ。少し考え方が変わるだけで、また違った見方ができるかもしれない。」

伊藤さんの言葉には妙な説得力があった。彼はこれまで何度も私たちの関係を取り持ってくれ、その度に親身に相談に乗ってくれた人だ。だからこそ、彼がここまで積極的に提案してくれることに、私は何かしらの期待を抱いてしまったのかもしれない。

「……わかりました。やってみます。」

心のどこかで、これが最後のチャンスかもしれないという思いがあった。こうして、私たちの奇妙な夫婦交換生活が始まることになった。

伊藤さんとの生活が始まって数日が経った。最初はやはり違和感があったし、どう接していいのかも分からなかった。でも、伊藤さんは終始穏やかで、自然と私を気遣ってくれた。驚いたのは、伊藤さんが私の夫よりも家事ができることだった。夫は、私が夕食を作っても「ありがとう」の一言もなく自室にこもる人だ。私もいつしか何も期待しなくなり、夫の背中をただ見送るだけの日々が続いていたのだ。けれども、伊藤さんは違った。朝、私がまだ眠っているときには、キッチンからお湯の沸く音が聞こえてきた。リビングに出ると、朝食がきちんと並んでいる。湯気の立つ味噌汁、ふっくらとした卵焼き…まるで、夢のような光景だった。

「おはよう、ユリさん。よく眠れた?」そう言って微笑む彼の声に、胸がじんわりと温かくなる。この瞬間が私のために用意されたものだと思うと、自然と心が安らいでいくのを感じた。こんな些細なことに、こんなにも満たされるなんて、私は忘れていた。ある日、買い物から少し遅れて帰宅すると、伊藤さんは不機嫌な顔もせずに「おかえり」と微笑んで迎えてくれた。台所には、煮魚に煮物、温かいご飯と味噌汁が並んでいる。私の好きなものばかりだった。

「夕食、用意しておいたよ。遅くまでお疲れ様。」その言葉を聞いた瞬間、胸がいっぱいになって、思わず涙が出そうになった。こんなにも丁寧に、誰かが私のために何かをしてくれるなんて……

私は、ずっと夫のために尽くしてきた。でも、自分が誰かに愛されていると感じるのは、こんなにも違うものだったのか。

伊藤さんと過ごす時間が増えるにつれて、彼の優しさに心が揺れていった。夕食を一緒に食べながら交わすたわいもない会話。私の好きなもの、伊藤さんの趣味、そして、彼が大事にしている価値観。それらすべてが、いつの間にか私の心を暖かく満たしていく。

ふと考えた。これまでの結婚生活で、私たちはこんな風に互いを思いやっていただろうか?もしかしたら、ずっと気づかないふりをしてきたのかもしれない。自分の寂しさに目をつぶり、夫への不満を抱えたまま、ただただ惰性で過ごしてきたのかもしれない。

「どうして、あの時気づかなかったんだろう…」

夜、一人でベッドに横になると、そんな思いが胸に迫ってくる。私にとって本当に大切だったのは、もしかしたら夫ではなく伊藤さんだったのかもしれない……そう気づいた時、心の中で答えが見えてしまった。

次の日、伊藤さんに思い切って気持ちを打ち明けることにした。夕食が終わり、二人で食器を片付けているとき、私は深呼吸をして彼を見つめた。

「伊藤さん、私…今の生活がすごく心地よいんです。今まで感じたことのない温かさがあって、あなたといると安心できる。だから…すべてを捨てて、私と一緒に生きてほしい。」

彼は少し驚いた顔をしたが、すぐに穏やかな表情に戻った。そして、静かな口調でこう言った。

「ユリさん…ありがとう。でも、俺は妻を裏切ることはできない。だから…ごめんな。」

彼の優しさに、胸が締め付けられるようだった。私の心の中で芽生えた温かな感情が、ゆっくりとしぼんでいくのを感じた。伊藤さんの言葉に何も言い返せず、ただ黙ってうつむくだけだった。

その夜、私は自分の愚かさを噛みしめながら泣いた。結局、私が求めていたのは、誰かの温もりにすがることだけだったのかもしれない。そして、伊藤さんの優しさに期待をしてしまったのは、私の勝手だったのだ。

それから数日後、私は再び夫との生活に戻った。相変わらず、会話はなく、冷たい沈黙が部屋に流れる。あの温かな日々は、もう夢のように遠いものになってしまった。

「これでよかったんだよね……」

自分にそう言い聞かせながらも、心の中にはぽっかりと大きな穴が開いていた。伊藤さんの言葉が胸に深く刻まれて、私は再び夫との冷えきった生活に戻っていくしかなかった。

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