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外人はやっぱりすごい

シニアの恋愛は60歳からチャンネル様シニアの話
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私の名前は徳田昭雄、61歳です。

妻の名はマリー、五十八歳。そう、彼女はアメリカ人です。

アメリカ人といっても、日本で生まれ育っていますので、日本語は完璧です。むしろ、関西弁が染みついていて、話し方だけ聞けば生粋の日本人に思えるほどです。ただ、両親とは英語で会話しているので、そのギャップがまた面白いと感じています。

そんな彼女とは結婚してもう30年以上が経ちました。正直外国人夫婦というのは合わないとすぐに離婚するというイメージを持っていましたが、マリーを見ていると一概にそうとも言えないと実感します。彼女は、結婚当初から変わらず、どこでもキスをするし、ハグも当たり前のようにします。そういう文化で育ったのでしょうが、この歳になるとさすがに周りの視線が痛くなり、私にとっては少し恥ずかしいと感じることもあります。若い頃はそれでもよかったのですが、最近は人前では避けるようになっていました。

そして、夜の生活も普通にあります。むしろ、定年してからは増えたくらいです。仕事をしていた頃は、疲れもあり週に数回程度でしたが、今はほぼ毎日になりました。やっぱり外国人だからこれが当たり前なのかと思っていましたが、さすがにしんどくなってきました。

ある夜、私はなんとなく疲れていたこともあり、そっと一人で布団に入るだけにしました。すると、マリーが不思議そうな顔をして「どうしたの?」と聞いてきました。私は正直に「ごめん最近、ちょっとしんどくて」と答えました。すると、マリーは驚いた表情を浮かべ「え?私のこと、もう好きじゃなくなったの?」と寂しそうに言いました。

その言葉に、私は思わず「そんなことはない」と即座に否定しました。ですが、マリーは少し納得がいかない様子で「だったらどうして?」と問い詰めてきます。私はうまく説明できず、「ただ年齢のせいかな」と曖昧に答えました。

マリーはしばらく黙っていましたが、「そう……」と小さく呟き、そのまま背を向けました。その姿を見て、私は胸が締めつけられるような感覚に陥りました。これまでの関係に亀裂が入ってしまったような気がして、どうすればよいのか分からなくなりました。

一晩考えましたが、やはり誰かに相談するのは気が引けます。友人に話すにはあまりにも気恥ずかしいですし、医者に相談するほどのことでもないように思えました。結局、私は一人で悩み続けることになりました。

そんなある日、マリーの両親が久しぶりに日本へ来ることになりました。彼女はとても嬉しそうで、滞在中はできるだけ一緒に過ごしたいと言っていました。私はもちろん快諾し、彼女の両親を空港まで迎えに行きました。

家に戻ると、マリーと両親は英語で楽しそうに話していました。普段は関西弁を話す彼女ですが、両親と会話する姿は、まるで別人のように感じました。そのとき、私はふと気づきました。「マリーはやはり外国人なのだ」と。日本で育ったとはいえ、文化や価値観の根本は私とは違うのかもしれない——そんな考えが頭をよぎりました。

私は思い切ってマリーに聞いてみることにしました。「マリー、愛情ってどうやって確かめたい?」と。

彼女は驚いたように私を見ましたが、やがて少し考え込んでから答えました。「日本の人は、言葉や態度で愛を示すより、体のつながりを大事にするよね。でも、私はそれだけじゃなくて、普段のスキンシップや言葉も大事だと思ってる」

その言葉に、私はハッとしました。私はずっと「外国人だから」と思い込んでいましたが、彼女が求めていたのはそういうことではなかったのかもしれません。

マリーの言葉を聞いて、私はこれまでの自分の考え方を見直すべきだと感じました。私は彼女のことを「外国人だから」と決めつけてしまっていました。しかし、彼女が求めていたのは単なる体のつながりだけではなく、日常の中での愛情表現だったのかもしれません。

私はそれから意識的にマリーとの接し方を変えるようにしました。例えば、外を歩くときに軽く手をつないだり、ちょっとしたことで「ありがとう」と言葉に出して伝えたりするようにしました。最初は少し照れくささもありましたが、マリーは嬉しそうに微笑んでくれました。それだけで、「ああ、これでよかったんだな」と思えました。

すると、不思議なことに、夜の営みに対する彼女の態度も変わってきたのです。以前のように頻繁に求めるわけではなくなり、自然な流れの中でお互いの気持ちが合うときにだけ、という形になりました。そのほうが私にとっても無理がなく、マリーも満足しているように見えました。

ある日、マリーがふと「最近、すごく幸せ」と言いました。私は「何かあったか?」と聞き返しましたが、彼女はにこりと笑って「あなたがたくさん気持ちを伝えてくれるようになったから」と言いました。その言葉に、私は少し驚きました。自分では大したことをしているつもりはなかったのですが、彼女にとってはそれが何より嬉しかったようです。

「たまには夜も、お願いね?」

マリーが少し照れたように言いました。その言葉を聞いて、私は思わず苦笑してしまいました。「頑張って体力付けるよ」と返すと、マリーは「普通でいいの」と微笑みました。

これまでの私は、「マリーは外国人だから」という固定観念に縛られていたのかもしれません。しかし、彼女が本当に望んでいたのは、国籍や文化ではなく、夫婦としての信頼関係や心のつながりでした。

今では、夜の営みの頻度こそ落ち着きましたが、それ以上に夫婦の絆が深まったように感じています。お互いを思いやり、無理なく、でも確かに愛情を感じられる関係。そういう夫婦の形が、今の私たちにとってちょうどいいのだと思います。

「本当にありがとうな。お前がいてくれるから、俺は頑張れるよ」

そう伝えると、マリーは少し驚いた顔をしましたが、すぐに微笑みながら「私もよ」と答えてくれました。その表情には、優しさと安心感が溢れていました。

人生は短いものです。でも、その短い時間の中で、愛する人と心を通わせながら生きていけるのなら、それだけで十分なのかもしれません。これからも、マリーとともに、そんな小さな幸せを積み重ねていきたいと思っています。

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