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シニアなりの夜のルール

シニアの体験シニアの恋

夫が玄関のドアを閉めると、すぐに私を後ろからぎゅっと抱きしめてきました。「ちょっと、まだ玄関なのに」と私は驚きながらも軽く抵抗しましたが、夫は靴を脱ぐ間もなくそのまま私を抱きしめ続けました。外から聞こえる生活音に、誰かにこの瞬間を見られているのではないかという緊張感が走ります。それでも、夫の強い抱擁に私は次第に抵抗する気持ちを失い、ただその温もりに身を任せてしまいました。

私は夏美、61歳になります。周りの同年代の女性たちは、「もうそんなことなんてないわよ」と言いますが、最近のラブホテルはシニア世代で賑わっていると聞いています。

平日昼間のラブホテルの半数はシニア層が使っているそうです。実は私達夫婦は50代に差し掛かった頃から、夫とのスキンシップが次第に減り、手さえ握ることがなくなっていました。しかし、今ではまるで新婚のように、いや、あの頃よりもずっと深く愛し合っています。

どうして私たちがそんな風になったのかというと、それは夫婦としての「ルール」を作ったからです。きっかけは、夫からの久しぶりのお誘いでした。私たちは普通に恋愛して結婚し、子育てや仕事に追われながら家庭を守ってきました。ただ、子供たちが独立して二人だけの生活が始まった時、正直なところ、どう過ごしていいのかが分からずにいました。

 夫は定年を迎えた後、近所のホームセンターでアルバイトを始めました。毎朝10時に出勤し、夕方3時には帰宅する生活です。そんな日常の中で、二人で買い物をしたり料理を作ったりと過ごしていましたが、どこか二人とも物足りなさを感じていました。ある日、夫が帰宅した後に、私たちは何気なくテレビを見ていました。すると突然、ロマンチックなシーンが流れてきて、私は気まずさから席を立とうとしました。しかし、夫が私の腕を引き、私を引き寄せようとしたのです。私の顔が驚いた顔をしていたのか、優しく「冗談だよ」と夫は笑いましたが、その笑顔の裏に本気の想いが隠れていることに気づきました。

その日、私は久しぶりにママ友のランチ会に参加しました。彼女は夫婦の赤裸々な体験を語ってくれました。それは、長い間途絶えていた体の関係を復活させたというものでした。「女として、肉体的に愛されるのが嫌なの?」彼女の問いかけに、私は先日の夫とのことを思い出し、耳まで赤くなるのが分かるほど顔が熱くなりました。決して嫌ではなかったのです。彼女は微笑んで「なら、もっと愛されて、もっと愛してあげなきゃ」「そうしないとどんどんお婆さんになっちゃうよ」と、愛され続けるための夫婦の夜のルールを教えてくれました。

その夜、私は「少し遅れたけど、定年のお祝いをしよう」と、夫の好きなワインを開けて乾杯しました。ワインが回って、ほろ酔い気分になったところで、私は夫の背中に回り肩を優しく揉んであげました。すると、夫は私の手をそっと止め、目を閉じて「ありがとう」と一言。私の心臓はドキドキと音を立て、その瞬間、何十年ぶりかにリビングのソファーで体を重ねました。若い頃のような荒々しさや情熱ではありませんが、ゆったりとした穏やかな時間が流れ、私たちはお互いの存在を感じながら心地よいひとときを過ごしました。

それから私たちは、彼女が言っていた通りに、二人できちんと話し合い、夜のルールを作ることにしました。最も大切にしたのは、したい時に無理をしないこと。そして、したくない時に無理強いしないこと。このルールを守ることで、私たちはお互いの気持ちを尊重しながら、安心して過ごせるようになりました。「ごめん、今日はそんな気分じゃない」と私が正直に伝えると、夫は一瞬悲しそうな顔をしましたが、その後「また今度ね」というと彼も優しく笑いかけてくれました。そんな小さな約束が、私たちにとって大きな安心感を与えてくれるのです。

さらに、私たちは月に一度のスキンシップの日を設けました。その日はデートから帰ってきたらまず一緒にお風呂に入り、香り豊かな少し贅沢な入浴剤を使ってリラックスします。お風呂場の照明は消して、外からの間接照明だけにすると、薄暗い中での後ろからのハグが特別な感覚を呼び起こします。もちろん、予定外にしたくなる日もあり、その時はその時で楽しむことにしています。最近では、私たちの間に自然とそんな気持ちが湧くことが多くなってきました。

ある日、外で目にした外国人カップルに刺激を受けた私たちは、家の玄関に入るや否や、お互いに求め合っていました。以前なら、玄関でのそんな行為は恥ずかしくて拒否していたかもしれません。しかし今では、むしろそのスリルに興奮し、靴も脱がずにそのまま愛を確かめ合うことに。声が漏れてしまわないかという不安が、かえって私たちの情熱をさらに燃え上がらせました。この情熱的な関係を築けるのは、長年連れ添った夫婦だからこそだと感じます。

夫婦の営みは、何年経っても伝えるのが難しいデリケートなものです。だからこそ、私たちは二人だけのルールを作り、お互いに刺激と安らぎを与え合いながら、いつまでもこの特別な時間を楽しんでいきたいと思っています。最近では、お互いを男と女として意識し直すことが増え、改めて夫に対しての魅力を感じるようになりました。私は夫のためにメイクや下着にこだわり始め、夫もそれを敏感に感じ取ってくれます。夫も髪の毛を染めたり運動を始めたりと、お互いにとって、心も体も若返った気分です。

その日、私たちは改めて二人の関係について話し合うことにしました。夫は微笑みながら「最近、君はとても若くなったと思うよ」と言ってくれました。その言葉に私はとても嬉しくなり、「ありがとう。少し若返ったかしら?」と返しました。私たちはこれからも二人で新しいルールを守りながら、お互いを大切にし続けていこうと誓いました。

夫婦の関係は、年を重ねるごとに深まり、より親密なものになると実感しています。私たちが築いた夜のルールは、単に行為を楽しむためのものではなく、互いの心と体を繋げ、愛情を再確認するための大切な時間を作るためのものでした。

私たちのルールには、週に一度のデートも含まれています。おしゃれなレストランで食事をしたり、映画を見に行ったり、買い物に行ったりと、まるで若い頃に戻ったかのようにデートを楽しんでいます。若い頃とは違い、朝から丸1日出かけることなんてもうできません。お昼に公園でお弁当を食べたりそれだけでも良いのです。夫婦二人で過ごす時間が増えることで、自然と会話も弾み、笑顔が絶えない日々が続いています。

夫は「これからも君と一緒にいられることが本当に幸せだ」と言い、私は「私も同じ気持ちよ。あなたと一緒にいると、毎日が特別な日になるわ」と返しました。お互いに感謝の気持ちを伝え合いながら、これからもずっと仲良く過ごしていくことと、お互いの為に健康に気を付けていくことを誓いました。

私たちの夫婦関係は、昔よりも深く、強いものになりました。年を重ねることで得られる穏やかな幸福感と、互いを思いやる気持ちが、私たちの絆を一層強くしているのだと思います。こうして私たちは、互いを思いやり、感謝しながら、年を重ねても変わらない愛を育んでいるのです。夫婦の関係は、年を取るごとに深まり、互いを尊重し合いながら、穏やかで幸せな日々を過ごしていけるのだと信じています。

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