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趣味に合わせた「夫婦〇〇」

いつまでも若くスワッピング系

「やっぱ海でしょ」 「いいや山だね」
また始まった、いつもの夫婦喧嘩。今日も日帰り旅行の行き先を巡って、桜と意見がぶつかっていた。海か山か、どちらも譲れない。食事の好みも同じだ。俺はお肉が食べたい、桜はお魚が食べたい。こんな些細なことでよくケンカになる。若い頃は、どちらかが折れてすぐに仲直りしていた。しかし、歳を取るにつれ、二人とも意地を張ることが多くなった。頭が固くなってしまったのか、しょうもないことでケンカすることが増えていた。

俺の名前は圭吾。今日はいつもの仲間との飲み会だ。俺たち4人は元々幼なじみで、俺、妻の桜、友達の大樹、楓の4人で小学生の頃からいつも一緒に遊んでいた。定期的にどちらかの家に集まって、愚痴を言い合うのが恒例だった。

今回の愚痴は、今度の日帰り旅行で海と山で揉めた話だ。大樹が「うちもだよ、うちはお互いが決められないから中々決まらなくて」と笑っていた。俺たち夫婦は意見を出し合ってぶつかるが、大樹たち夫婦は優柔不断で中々決められずにケンカになるようだ。

性格も対照的だ。俺と桜は自己主張が強いが、大樹とかえでは相手に合わせるタイプだ。
「じゃあさ、多数決で決めよ」 「せーの」 「海」 「山」

意見が割れた。俺とかえでが山、さくらと大樹が海。
「あぁ、これじゃ多数決になんないじゃん。どうする?」と桜が言う。

その時、珍しく楓が提案した。「んじゃバラバラで行く?」 「え!良いじゃんそれ!」桜がそれに乗っかる。

結局、バラバラで日帰り旅行に行くことになった。

旅行の数日前から、桜は楽しげに準備を始めた。カラフルなシュノーケリングセットや水着を選びながら、『こんなのどう?』と楽しそうに問いかけてくる姿を見て、俺は微笑んだ。彼女たちは海でシュノーケリングツアーに参加するようだ。俺たちは素人でも登れるハイキングに行くことにした。

お互い気心は知れているからそこまで緊張はしなかったが、俺は少し後ろめたい気持ちを抱えていた。

旅行当日、挨拶もそこそこに 「おはよー、夜はまたみんなでご飯食べようね」と約束し、バラバラに車に乗り込みそれぞれ出発した。

「良かったのか?楓」 「ん?なにが?」かえではおっとりと受け答えする。 「いや、なんでもない。さすがにちょっとドキドキするな」 「そうなんだ。ふーん」 「大丈夫だよ、今日は楽しもう!私、お弁当も作ってきたんだよ」 「おお。ありがとう」

少しぎこちないながらも、新鮮な時間はあっという間に過ぎ、目的地に着く頃には、心地よい疲れと期待が胸に広がっていた。青空の下、目の前には往復5時間のハイキングコースが待ち構えている。
「さぁ、行くか」と意気込んで、俺たちは険しいハイキングコースを登り始めた。息が上がり、心臓がドキドキと音を立てる中、足元の石に注意を払いつつ、一歩一歩慎重に進んでいった。道中、俺が「休憩しようか?」と提案しても、楓は笑顔で「大丈夫」と答える。その姿は、桜なら「しんどーい」と嘆くだろうなと思いつつ、頑張り屋さんの楓らしいと、心の中で微笑んでいた。頂上に近づくにつれ、俺たちの息が荒くなり、心臓の鼓動が速まった。足元の石が滑りやすく、注意を怠れば危険だ。「ここ滑るぞ」と手を貸し、「ありがと」とお互い支え合いながら一歩一歩慎重に進んだ。そしてついに、頂上にたどり着いた時の目の前に広がる絶景と達成感に胸がいっぱいになった。

「すごーい」遠くまで見渡せる景色に、楓と俺は感動していた。

「ああ、すごいなー」

「みんなで見れたら良かったのにね」と楓が呟く。『あいつらは頂上まで車で来たいって言うだろうけどな』と俺は笑いながら答える。

「ふふっ。そうだね」しばらく新鮮な空気を吸いながら景色を堪能していると、 「さぁ、お弁当食べよっか!」

と楓は見事なお弁当を広げてくれた。桜は料理が苦手なので、普段は俺が一緒に作ることが多い。

「美味しそうだな」と喜んでいると、「食べて食べて」と卵焼きを食べさせてきた。内心ドキドキしながらも「うん、美味い」と言うと、楓は嬉しそうにしていた。

「今日はどうだった?」と尋ねる楓。 「え?楽しかったよ」と答えると、楓はほっとしたように微笑んだ。「でもほんとは桜と来たかったでしょ?」と楓が突っ込む。 「いやいや、そんなこと言ったら、楓だって大樹と行きたかったでしょ?」と返す。お互い沈黙が流れる。楓といることに何の不満もない。それは楓も同じだろう。離れ離れになったことで、お互いの妻、夫を愛しているんだと再認識していた。

「そうだね、でも私、結構楽しかったよ!たまにはこういうのも良いかもね!」 「あぁ、そうだな。山登りはあいつら絶対にしてくれないから、ハイキングはまたかえでに頼むわ」 「美味しいお弁当も食べられるしな。ハハ」 「もう!食事係じゃないんだよ!でもまたどこかハイキング行こうね」
それから俺たちは山を下り帰路に着いた。少しだけ別々で行動することに不安を抱えていたけど、俺たちは男女でも友情があることを証明できた。

待ち合わせのポイントで、桜と大樹に合流すると、二人ともゴーグルの日焼け跡がくっきりと目の周りに付いて真っ赤になっていた。俺と楓は大笑いし、「もう、笑わないでよー」と桜は恥ずかしがっていた。
「ねえ、どうだった?」と桜が興味津々に聞くと、楓は目を輝かせて「すっごい綺麗な景色だったよー」と答えた。
桜と大樹も大きなトラブルはなく、お互い友人として付き合えたようだ。
この後の食事をどこに行こうか相談していると、「んじゃせーので言おうか。「せーの」

 「焼肉」 「お寿司」

また、俺と楓は焼肉、桜と大樹はお寿司と分かれてしまった。4人は大笑いし、どこに行くかスマホで探し始めた。

俺たち4人は夫婦同士でもあり、友人同士でもある。このままの関係を続けられるように、たまには今日のような日を作っても良いもんだなと俺は思った。

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