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スワップ計画

いつまでも若くスワッピング系

「良いなぁ、菜緒さんの旦那さん」と会社の後輩、真里菜が言う。今日もお昼休みに菜緒の夫のことを褒める真里菜。彼女は会社の後輩で現在35歳の既婚者だ。結婚しているのに自由奔放な性格で、もうアラフォーだというのにすぐに人の彼氏や夫にちょっかいを掛けるいわゆる痛い人間でトラブルメーカーだ。
それまでほとんど話すことすらなかった彼女が話しかけてくるのにはきっかけがあった。半年ほど前、別の後輩の結婚式で私の夫を見た時から、彼女はやたらと私に声を掛けてくるようになったのだ。それまでは一緒に昼食を取ることなどなかったのに、最近ではほぼ毎日一緒に昼食を食べるようになっていた。

「うちの夫の何が良いの?」 「え~、優しいし、格好良いし~、頼りがいがある!」 「菜緒さん。また連れてきてくださいよ〜」 人の夫なのによくもまあ、いけしゃあしゃあと言えるものだと、私は逆に感心していた。 「ん〜…まあ、良いわよ。じゃあ今度ご飯でも一緒に食べに行く?真里菜も旦那さんを連れてきなさいよ」 「え~、良いんですかぁ?」真里菜は旦那の都合も決めずすぐにスケジュールを決めていた。

食事会当日、案の定真里菜は私の夫にずっと話しかけていた。わざわざ席替えをしてまで、隣に移動し夫にちょっかいを掛けている。そしてそんな真里菜にバカな夫は満更でもない様子だ。必然的に私は真里菜の夫、浩平さんと話をしていた。
「すみません、真里菜がご迷惑をおかけしまして」 「良いのよ、浩平さんは大丈夫なの?」
「はい、もう僕は疲れました」 聞くと、真里菜の自由奔放な性格にずっと振り回されっぱなしで、もう疲れ切っているとのこと。何度も浮気らしいこともしているらしい。私も夫がどういう人間かを話し始めていた。私たちが二人の愚痴を話しているのに、目の前にいる二人は自分たちの世界に入り込んでいるので、何も聞こえていないらしい。
しばらくすると、夫も真里菜も酔いつぶれてしまい、お開きになった。真里菜は私の夫に寄りかかっている。
よくもまあ、自分の夫を目の前にして人の夫に寄りかかれるものだと、心の底から感心していた。浩平さんは何度も謝っていたが、私は会計時に浩平さんと連絡先を交換し合い、店を後にした。

昨日の食事会がよほど楽しかったのか、翌日以降も真里菜の付きまといが酷かった。あまりにしつこいので、夫に直接連絡して良いと連絡先を渡した。彼女は嬉しそうに、「また飲みに行きましょうね」と喜んでいた。ただ、直接連絡を取れるようになったからかそれ以降付きまとわれることは無くなった。分かりやすい性格だ。

私の夫は外見は良いが、かなり内弁慶なところがあってものすごく外面が良い。ただ、実情はモラハラが激しく、感情のコントロールが下手糞なのか時には暴力も振るわれたことがある。そして最後には泣いて謝るような小さな男だ。正直、他に女を作って出て行って欲しいと心の底から何度も思っていた。そんな時に真里菜からのアタックがあったのだ。私はチャンスだと思い、浩平さんに連絡を取った。

彼も真里菜に振り回されっぱなしで疲れ切っている。人様の旦那にこんなことを伝えるのはどうなのかと思ったのだが、私は浩平さんに考えていた作戦を伝えた。夫と真里菜をくっつけて、あと腐れなく夫婦関係を解消したいと。すると浩平さんもすでに離婚を考えていたそうで、私の作戦にすぐに乗っかってくれた。そして私は浩平さんと密に連絡を取り合い、綿密な離婚計画を開始した。

その作戦とは、夫や真里菜が怪しい行動をしても絶対に止めないこと。そしてスマホの履歴などの証拠を掴んで、お互いが円満に離婚するように仕掛けた。片方だけじゃなくお互いが同時に離婚できるように証拠をつかむことにしたのだ。

正直、何も仕掛けなくても、すでに二人は連絡を取り合い、ちょくちょく会っているようだった。食事の用意をしなくても良い日が増え私は楽だった。後は決定的な瞬間を掴むだけだ。だが、浩平さんによると真里菜は脇が甘く、すでにスマホの写真も確保しているらしい。

最後の仕掛けとして、私は実家に用事があって、連休中実家に帰るから数日間家を空けると夫に伝えた。何も感じない夫は「え?三日間いないの?」と聞き返してきた。なんだか嬉しそうだった。案の定すぐに餌に引っ掛かり、夫は真里菜に連絡したらしい。その日の夜には、真里菜から浩平さんに「友達と旅行に行ってきても良い?」と聞いてきたらしい。
燃え上っている二人には悪いが、後は私たちが二人を尾行し決定的な写真を収めるだけだ。

浩平さんが真里菜のスマホをチェックしどこに行くかも既にわかっていた。旅行の当日、浩平さんと待ち合わせをし、二人で尾行を開始した。旅館に入るところまで証拠を確保した。作戦があまりにも上手くいき、その日は浩平さんと打ち上げをした。

「浩平さん、本当に良かったの?」 「はい、もう本当に清々していたので逆に良かったです」
「そう、私もよ」 二人は仕事をやり終えたような満足感と達成感を感じていた。

その後、その証拠を元にお互いに円満に離婚することができた。一応浩平さんも私も怒っている体を醸し出し、慰謝料も取ることに成功した。彼女は会社にもいられなくなり退職することにもなった。ただ、浩平さんは慰謝料を取らない代わりに二度と顔を見せるなと約束をしたそうだ。本当にもう顔を見るのすら嫌だったのだろう。

そして私たちは新しい一歩を踏み出していた。
離婚が成立して3か月後、私は浩平さんと食事をしていた。あれから私と浩平さんは連絡を取り合うようになり、今ではたまに食事をする仲になっている。お互い大きく傷ついて離婚したわけではないが、話のネタは元夫と元妻の話を肴にお酒を飲んでいる。このまま彼と恋に発展するかはまだわからないが、もし恋に発展して付き合うことになったら夫婦が入れ替わったことになるなぁと思わず苦笑いしていた。

その後、元夫と真里菜がどうなったかは分からない。ただ、お互いに苦しむことは確実だろうと浩平さんとの酒のネタになっていた。

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