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夫婦交換

いつまでも若く禁断背徳
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妻の由美が笑顔で勝也の手を取り、軽やかに二階へと付いていく。その光景を、僕はただ見つめるしかなかった。リビングに残された僕の胸には、嫉妬と驚きが渦巻いていた。まさか、由美がこんなに楽しそうに勝也についていくなんて…。そんなことを考えながら、僕は唇を噛みしめた。

それは数時間前のことだ。僕と由美は車でこの別荘に到着し、緊張したまま勝也と美和に出迎えられた。別荘から見える美しい富士山の景色を眺めながらも、僕たち夫婦の間には重い空気が流れていた。由美に声をかけようとしたが、言葉が出てこなかった。

僕と由美の結婚生活は、11年目を迎えていた。僕は税理士事務所を経営し、仕事は順調だったが、家庭では悩みが絶えなかった。妻の由美は事務所で事務員として働いており、家でも職場でも顔を合わせる生活は、二人の関係に少しずつ亀裂を生んでいた。結婚当初は仲睦まじかった僕たちも、今では口を開けばお互いにきつい言葉が飛び交うことが増えていた。

そんな中、数日前に勝也から電話があった。僕が独立する前の上司であり、師匠とも言える存在だ。電話の向こうで、勝也はいつもの落ち着いた声で言った。

「卓也、最近どうだ?仕事ばかりしてるんだろ?今度の週末、うちの別荘で家族でバーベキューでもしないか」

僕は少し迷ったが、家庭のギスギスした雰囲気を変えるきっかけになるかもしれないと思い、誘いを受け入れた。しかし、次の瞬間、勝也は思いもよらない提案をしてきたのだ。

「実はな、卓也…。その日一夜限りで夫婦交換をしてみないか?」

僕は思わず耳を疑った。勝也がそんな冗談を言うなんて、これまでの関係からは想像もつかなかった。

「え?冗談ですよね?」

「もちろん、嫌がったらしないよ。ただ、うちも美和と少しマンネリ化しててね。たまには、新しい刺激もいいんじゃないかって」

勝也の言葉は軽やかで、まるでちょっとした提案のように聞こえたが、僕の心はそれどころじゃなかった。僕の中で、様々な感情が交錯した。だが、勝也には何度も助けてもらっているし、断るのは難しい。そんな思いが胸の中で渦巻いていた。

その夜、僕は家で由美にその話をした。

「何言ってるのよ、本気で言ってるの?」

「いや、本気なんだ。勝也さんがそう言ってきて…」

僕が真剣な顔で説明すると、由美の表情は一変した。笑顔は消え、目に涙が浮かんだ。

「本気で言ってるの?そんなの嫌に決まってるじゃない!」

僕は由美をなだめるように話した。勝也にこれまで助けてもらったことや、バーベキューを食べるだけで良いし、仕事の関係でも断りづらいことを説明した。由美はそれでも首を振り続けたが、最終的にはため息をつき、僕に背を向けて小さくうなずいた。

週末、僕たちは緊張しながら別荘に向かった。車の中で由美は何も話さず、外の景色をじっと見ていた。別荘に到着すると、勝也と美和が笑顔で迎えてくれた。勝也の人懐っこい笑顔に、由美の表情も少し和らいでいた。

バーベキューが始まると、勝也の巧みな話術に、由美の頬に笑みが浮かぶのが分かった。久しぶりに見る妻の笑顔に、僕は少しほっとしながらも、胸にチクリとした痛みを感じた。

「勝也さんは話が上手いわね。」

由美の楽しそうな顔を見て、僕は無意識に拳を握りしめた。彼女がこんなに楽しそうに笑うのは、いつ以来だろうか。それが自分ではなく、勝也に向けられていることが、胸を締め付けた。

やがて夜も更け、リビングでの談笑が続く中、勝也が優しく由美に声をかけた。

「由美さん。そろそろ行こうか」

由美は一瞬僕を見たが、ためらう様子はなかった。勝也に手を取られると、自然な笑顔で「はい」と答え、彼と共に立ち上がった。その様子は、まるで新しい冒険に出かける少女のようで、僕の胸に暗い影を落とした。彼女が勝也についていくのを黙って見ている自分に、怒りと情けなさを感じた。

由美と勝也が二階へ消えていく姿を見送りながら、僕は心の中にぽっかりと穴が開いたような気分になった。冷たい汗が背中を伝い、体が震えているのが分かった。

「卓也さん?」不意に、美和の声が聞こえた。彼女は僕の隣に座り、優しく肩に手を置いた。その手の温かさが、今の僕には救いのように感じられた。

「もう少し、飲みましょうよ。せっかくだし、私たちも」

美和の優しい微笑みに誘われ、僕はグラスを重ねた。彼女と話しているうちに、少しずつ緊張が解けていくのを感じた。美和の柔らかな声と笑顔が、心に沁みていく。

「どうなるかと思ったけど、意外と悪くないわね」と美和が穏やかに囁いた。

僕は彼女の瞳を見つめ、その言葉に自然と笑顔を返した。彼女の温もりが、自分の中にあった寂しさを埋めてくれるようだった。そんな僕を、美和は優しく見つめ返し、そっと僕に寄り添った。

その夜、僕と美和は互いの体温に包まれながら、何度も唇を重ねた。彼女の優しいぬくもりに、僕は自分の心が解けていくのを感じた。

翌朝、僕が目を覚ますと、美和が微笑んで僕を見つめていた。

「昨夜は素敵でしたよ。また、こうして会ってくれますか」

彼女の言葉は、まるで夢のように甘く、僕はぼんやりと彼女を見つめた。別荘を出る前に、勝也と由美が二人で笑い合っているのを見て、僕は胸がざわついた。彼女の笑顔が、本当に楽しんでいるように見えたからだ。

帰りの車中、由美はいつも通りに話しかけてくるが、僕の中には、まだ昨日の出来事の影が残っていた。何を話せばいいのか分からず、ただ頷くことしかできなかった。

自宅に戻ると、僕は唐突に由美を強く抱きしめ、深くキスをした。彼女も驚いた表情を見せたが、すぐにそれに応えた。久しぶりに新婚の頃のような情熱が僕たちを包んだ。

「やっぱり、僕はお前が好きだ。すごく嫌だったよ」

僕は由美をぎゅっと抱きしめながら、彼女の温もりに安堵した。由美もまた、僕にしっかりと抱きつき、優しく微笑んだ。

「うん、私も。これからは、ちゃんと私の事見てね」

由美の言葉に、僕は胸がじんと温かくなった。これまでのすれ違いや不安が嘘のように感じられ、これから先もずっと彼女と一緒にいることを心に誓った。勝也夫妻と過ごした夜が僕たちにとって新しい絆を生むきっかけになったことを、僕は密かに感謝していた。そして、これからも由美を大切にし、二人の関係を守り続けていくことを強く心に決めた。

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