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隣の奥様

いつまでも若く純愛背徳
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「……助けて……お願い……!」

 夜遅く、俺の部屋のインターホンが激しく鳴った。  時計を見ると、深夜の一時を回っている。こんな時間に誰だ?

「はいはいどなた?」訝しみながらドアを開けた瞬間、俺は息を呑んだ。

そこに立っていたのは、隣に住む瑞穂さんだった。    

彼女は38歳の隣人の奥さんで上品で物静かな女性。

いつも綺麗に整えられた髪と、落ち着いた微笑みが印象的な人だ。  

ただいつもの彼女と今の彼女は少し違った。

 パジャマ姿のまま、裸足で肩を震わせ、涙を堪えるように唇を噛みしめている。  

頬には赤く腫れた痕が残っていた。「どうしたんですか……?」

問いかけると、瑞穂さんは震える声で答えた。

「……旦那が、また……お酒を飲んで…手がつけられなくて…」その言葉に、俺は背筋が凍る。  

今までも、隣の部屋から怒鳴り声が聞こえてくることは何度かあった。だが、いつも朝になれば何事もなかったかのように瑞穂さんは微笑んでいた。それが今夜は違う。  今にも壊れそうな表情で、俺の家に助けを求めてきたのだ。背後から壁を殴るような鈍い音が響く。  そして、それに続く男の怒号。

「どこ行ったんだ!瑞穂ォ!!」瑞穂さんがびくりと肩を震わせる。俺は迷わず彼女の腕を引いた。

「とりあえず、中に入ってください」

「で、でも……」

「早く!」躊躇う瑞穂さんを家の中へと引き入れ、すぐにドアを閉める。ドキドキなんてものじゃない。へたをすればこの状況で咎められるのは俺だろう。隣の部屋から怒鳴り声が続くが、やがて沈黙が訪れた。

「寝たのか…?」

「多分そうかもしれません…」そのまま緊張で強張る瑞穂さんの手を引きリビングのソファに座らせた。膝の上でぎゅっと手を握りしめている。

「……すみません。こんな時間に、ご迷惑を……」

「そんなの、気にしないでください」俺がそう言うと、瑞穂さんはふっと顔を伏せた。俺はこのときまだ知らなかった。  

この夜が、俺の人生を大きく変えることになるなんて…

瑞穂さんが俺の部屋に身を寄せるようになって、二日が経った。最初の晩こそ怯えた様子だったが、翌朝からはなるべく迷惑をかけまいと気を遣っているのが伝わってきた。部屋の片隅で小さく座っていた彼女も、今はリビングのソファに腰を下ろしている。

「すみません、こんなにお世話になってしまって……」

「大丈夫ですから気にしないでください。」

俺が笑ってみせると、瑞穂さんも少しだけ微笑んだ。その表情はまだ硬いが、最初の夜とは違う。ほんの少しでも安心してくれているのだろうか。瑞穂さんは、普段どんな暮らしをしていたのだろう。隣人として顔を合わせることはあっても、深く関わることはなかった。

それに、彼女が困っていることも知らなかった。隣の壁一枚向こうで、どんな地獄が繰り広げられていたのか。

俺はそれを想像しながら、悔しさがこみ上げてくるのを感じた。

そんなとき、瑞穂さんが小さく口を開く。

「私、もうあの家には戻れません」その言葉には、はっきりとした決意があった。俺はコーヒーを一口飲み、慎重に言葉を選ぶ。

「旦那さん、探しに来るかもしれませんね」

「ええそうですね。あの人、しつこいですから……」瑞穂さんは両手をぎゅっと握りしめる。その指先がかすかに震えていた。

「もし、ここにいるのがバレたら……ご迷惑をかけるかもしれません。だからすぐに出ていきます。」

彼女の言葉には、俺を気遣う気持ちと、それでもどうしようもない不安がにじんでいる。

「その時は俺がなんとかしますから。」俺はそう言い切った。瑞穂さんが驚いたように顔を上げる。

「でも……」

「それに瑞穂さんが行くアテなんて旦那さんに突き止められちゃうでしょう?

それなら俺の家にいる方が安心ですよね。何も心配しないでください」

瑞穂さんは、しばらくじっと俺の顔を見つめていた。やがて、小さく、震える声で呟く。

「……ありがとうございます」それは、涙をこらえるような声だった。

それからしばらく、瑞穂さんは俺の部屋で静かに過ごしていた。昼間はなるべく物音を立てないようにし、俺が仕事から帰ると小さく微笑んで「おかえりなさい」と言う。俺は社会人になってからひとり暮らしが長い。だから帰宅したら誰かが待っていてくれるなんて想像もしていなかった。それだけのやり取りなのに、不思議と温かみがあった。

「お口に合うかわかりませんが…ポトフです」

「え、めちゃくちゃ好きです!ありがとうございます!でも食材なんてこの家になかったでしょう?」

「私がよく行くスーパーで買ってきたんです。ずっとお世話になっているわけにはいきません」

瑞穂さんは料理が得意だった。俺も誰かの手料理なんて久しぶりだ。こういうの悪くないな…

しかし、そんな穏やかな時間は長くは続かなかった。

ドンドンッ!玄関のドアを激しく叩く音が響く。

「瑞穂! いるんだろう!!出てこい!!」

「なに!?」血の気の引くような怒鳴り声。間違いなく、瑞穂さんの夫だった。

俺は反射的に瑞穂さんを見る。彼女は顔を真っ青にして、身体を震わせていた。

「……どうしよう……」消え入りそうな声で、瑞穂さんが呟く。ドンドンッ!!

さらに強く叩かれる。今にもドアを蹴破られそうな勢いだった。

「開けろ!! てめぇ、俺の嫁を隠しやがって……!」なぜ、居場所がバレた? 俺は頭の中で必死に考えた。瑞穂さんは俺の家に来てから、一歩も外に出ていない。俺も慎重にしていたつもりだ。だが——。ふと、嫌な予感がした。

「瑞穂さん、スーパーに行ったって言ってましたよね?誰かと会いました?」

「い、いえいつもの店員さんと…あっ…」

「どうしました?」

「その人…主人と同級生なんです」直感した。その人から聞いたんだろう。もしくは、近所の誰かが余計なことを言ったのか。

いずれにしてもバレたことに変わりない。理由はいくつか考えられるが、今さら後悔しても遅い。

俺は深呼吸し、一瞬だけ考える。ここでドアを開けたらどうなるか。

話し合いで解決するような相手ではないことは、瑞穂さんの様子を見ればわかる。

俺はゆっくりと立ち上がると、瑞穂さんの肩をそっと掴んだ。

「瑞穂さん、俺の部屋の奥にいてください。絶対に出てこないで」

「で、でも……」

「大丈夫です。俺が対応しますから。後で一緒にポトフ食べましょ」

瑞穂さんは不安そうに俺を見つめたが、やがて小さく頷き、部屋の奥へと消えていった。俺は深く息を吐き、玄関へと向かう。

覚悟を決めて、ドアノブに手をかけた。

俺は深く息を吸い、ドアを少しだけ開けた。そこには、血走った目でこちらを睨みつける瑞穂さんの夫が立っていた。

50代半ばの男。酒とタバコの臭いが鼻をつく。

「おい、瑞穂を出せ!ここにいることは知ってるんだよ!」怒鳴る声が廊下に響く。

「何の話ですか…?」俺はできる限り冷静な声を作り、惚けてみせた。

「とぼけんな!お前んとこに逃げ込んだって、分かってんだよ!俺の知り合いが野菜買ってきたぞって言ったんだ。

それで今日ここに入っていくのを見たって他の奴から聞いたんだ。お前が匿ってたんだな?」

男はドアを押し開けようとする。俺は咄嗟に体で押さえ、隙間を広げさせないように踏ん張る。

なるほど。瑞穂さんが嫌になるわけだ。

「人を勝手に疑うのはやめてもらえますか?」

「証拠もあんだよ!姿を見たって奴もいる!」やはり誰かに見られていたのか。男はさらに声を荒げる。

「瑞穂! 出てこい!!今出てくるなら許してやるよ!」俺の後ろで、小さく息を呑む音が聞こえた気がした。

「瑞穂さんはいません。帰ってください」そう言い放つと、男は一瞬目を見開き次の瞬間、ドアに拳を叩きつけた。

「テメェ……いい度胸してんなぁ!!」廊下に響く怒声と鈍い音。

「警察、呼んでますよ?」

「はぁ?」この男と話しているうちに苛立ってきた。

途中から俺は奴に怯まず淡々と言った。

「瑞穂さんがどこにいるかわかりませんが、あなたがそうやって怒号を浴びせるから出ていったんじゃないですか?

一度自分に原因があることを考えて反省したらどうです?」

「てめぇ…」

「警察はもう既に呼んでますからそっちに説明してください、いいですね?」俺の毅然とした態度に男は顔を歪め、俺を睨みつけた。

「……チッ」しばらくの睨み合いの後、男は忌々しそうに舌打ちし、足を引きずるようにして去っていった。俺はすぐにドアを閉め、鍵をかける。静寂が戻った部屋で、背後を振り返ると瑞穂さんが壁に寄りかかるようにして立っていた。

顔は真っ青で、手は小刻みに震えている。

「大丈夫ですか?」俺が声をかけると、瑞穂さんは小さく頷き俺に抱きついてきた。

「怖かった…怖かったです…」しかし、その目には恐怖が張り付いたままだった。

ドアを閉めると、瑞穂さんは震えるようにしてリビングに座り込んだ。

その顔は真っ青で、恐怖がまだ残っている様子だった。

「大丈夫。俺がいますから」俺は軽く彼女に近寄り、声をかけたが、その手のひらが震えているのを見て、まだ完全に恐怖が払拭されていないことを実感した。

「ありがとう……本当に、怖かった……」 瑞穂さんの声はか細く、涙を堪えるようにしていた。

そのとき、玄関のチャイムが鳴った。目を見開き、俺は思わず息を呑んだ。今、誰が訪ねてくるというのか?さっきの警察はハッタリなのに?

「まさかまた…?」俺は無意識に口にしていた。瑞穂さんもその音を聞いて、顔色をさらに悪くした。俺が立ち上がると、瑞穂さんはその後ろに隠れるようにして座った。

心臓の鼓動が早くなっていくのを感じながら、俺は玄関へ向かう。ドアを開けると、そこに立っていたのはまさに予想通り、瑞穂さんの旦那だった。俺の目をじっと見つめ、旦那は冷徹な目をしていた。

その目は酔っ払っていた時とは違い、どこか穏やかな雰囲気を醸し出していた。

「お前、さっきのことはどういうつもりだ?」俺は冷静を装いながら答える。

「あなたが瑞穂さんを傷つけるなら、見過ごせないって話です。まぁ瑞穂さんがどこにいるかはわかりませんがね。」

旦那は一瞬、目を見開いたが、すぐに冷笑を浮かべてから言った。

「なるほどな。ただお前がどんなに言っても、結局あいつは俺の妻だ。」

その言葉に、俺の胸にわずかな怒りが込み上げてくる。しかし、ここで感情を爆発させては意味がない。冷静でなければならない。

「瑞穂さんはいないんだから、今すぐに帰ってくれ。」俺の声は震えていなかったが、その中に確かな決意が込められていた。旦那は少し黙った後、深いため息をつく。

「お前、本当に俺の家に口を出すつもりか?」

「口出しするつもりなんてない。ただもしさっきみたいな様子のあんたに傷つけられたと言って瑞穂さんが助けを求めてきたなら、俺はあんたと真っ向からぶつかるだろうな。」その言葉に旦那は顔色を変えた。すぐに攻撃的な態度に戻り、俺を睨みつける。

「お前…、ふざけんな。」だが、そのとき、瑞穂さんの声が突然響いた。

「もう、十分です!」瑞穂さんが立ち上がり、恐る恐るだが毅然とした態度で旦那を見つめていた。

彼女の目には涙が溢れていたが、それでもその表情は力強さを持っていた。

「あなたとは、もう終わりです。私はあなたを恐れて、ずっと耐えました。でも、もうこれ以上、あなたの暴力に耐えることはできません!」

旦那はその言葉に驚き、立ち尽くす。しかし、瑞穂さんはさらに言葉を続ける。

「あなたのことを、私はもう愛していません。怖かったけれど、あなたを捨てる覚悟を決めました。」

その瞬間、旦那の顔から笑顔が消え、冷たい目が再び瑞穂さんに向けられた。だが、瑞穂さんはその視線を受け止め、決して目をそらさなかった。

「帰ってください。私はもう、あなたと一緒に暮らすつもりはありません。」

「ま、待ってくれ瑞穂!俺は…!」瑞穂さんの言葉には、力強い決意が込められていた。それは恐れを知らぬ目線であり、彼女自身がこれから進むべき道をしっかりと見据えている証だった。

旦那は一歩後ろに下がり、目をそらした。そして、何も言わずに、そのまま振り返り、玄関を出て行った。

ドアが閉まる音とともに、空気が一瞬で変わった。瑞穂さんは、深く息を吐いてから、泣き崩れた。その涙は恐怖と戦ってきた証であり、今まで抑え込んできた感情が溢れ出す瞬間だった。

俺は静かに彼女の側に行き、ゆっくりと彼女を抱きしめた。

「もう、大丈夫だよ。」

瑞穂さんはそのまま涙を流しながら、俺の胸に顔を埋めた。

「あの…」

すると瑞穂さんの顔が近づいた時、俺は無意識に唇を重ねてしまった。

それも何度も、何度も…

「だ、駄目です。私とあなたは…」

「瑞穂さん、俺はもうあなたを一生守りたい。だから今夜は…」

「だ、駄目なのに…」俺達の間にはもはや言葉など要らなかった。

俺は何度も彼女を求めた。大人の彼女の色気の虜に俺はなってしまったんだ。

それから数週間が経過。

瑞穂さんはようやく安堵の表情を取り戻し、少しずつだが笑顔を見せるようになった。

旦那との結婚生活に縛られていた日々が嘘のように、彼女の心に少しずつ自由が芽生えていった。

その日、瑞穂さんは自分の部屋に戻り荷物を整理していた。

実は離婚に向けての話が進み始めたのだ。

以前は旦那に言われるがままに保管していた物や、無理やり押し込められていた感情の塊が目の前に広がっていた。それを一つひとつ整理しながら、彼女は今、初めて自分の人生を取り戻していると感じていた。

「これからは、縛られず自由に生きるんだ。」

瑞穂さんがそうつぶやくと、俺は静かに部屋に入り、彼女に向かって微笑んだ。彼女はちょっと驚いた顔をしてから、すぐに優しい笑顔を返してくれる。

「ありがとう、あなたがいなかったら、私はきっと、あのままでいたかもしれません。」

その言葉に、俺は軽く肩をすくめる。

「そんなことないよ。あんな暴力を振るう人と一緒にいる必要なんて無いよ。やっと一歩踏み出せたね。」

瑞穂さんは少し顔を赤らめながら、俺を見つめて言った。

「本当に……あなたに助けてもらわなければ、私はもっと苦しんでいた。あなたがいてくれたおかげで、今、やっと自分を取り戻せた気がします。」

その言葉に、俺は心の中で安堵の息を吐いた。これで瑞穂さんが本当に幸せになれる道が開けたのだと実感できたからだ。

それから、瑞穂さんは今後の人生についても語り始めた。旦那と過ごした年月が長かったため、最初はどうしても不安が残っていたようだ。

「私、これからは一人で生きていこうと…」そう言いかけた時俺は彼女の言葉を遮った。

「一人なんて駄目ですよ。俺はあなたと生きていくつもりですから…」

「でも…」

「瑞穂さん、俺はあなたと一緒に生活したい。あなたのいる日常を送りたいです…」

瑞穂さんは顔を赤くして頷いた。

それから俺達は引っ越しをして同棲することにした。

もちろん同棲は離婚が成立した後だ。あの旦那はゴネているらしいが、モラハラが立証され慰謝料も避けられない様子。

これから瑞穂と見る未来に俺は楽しみすら抱いている。

彼女を必ず俺の手で幸せにして見せるんだ…

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