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こんなに気持ちいなら、もっと早くに…

いつまでも若く感動純愛
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「ユキコ、あんたもう40よ? 」 受話器の向こうで叫ぶ母の声に、私は思わずスマホを耳から30センチほど離した。「分かってるって、お母さん。でも、相手がいないんだから仕方ないでしょ!」 

私は小林ユキコ、40歳、独身。職業、中小企業の経理。特技、電卓早打ち。彼氏いない歴=年齢。別にモテなかったわけじゃない。いや、告白されたことは数回ある。しかし、どうにもこうにも「男性」という生き物が怖かったのだ。ガツガツした感じとか、下心が見え隠れする視線とかが。結果、丁重にお断りし続けて今に至る。

電話を切ると、どっと疲れが押し寄せる。「あーあ、どこかに落ちてないかな、白馬の王子様…いや、ロバでも亀でもいいから、私をこのプレッシャーから救い出してくれる人…」

そんな私の心の叫びが天に届いたのか、数日後、大学時代からの親友、ミカから一本のLINEが届いた。『ユキ! 見て!』

添付されていたのは、男性の写真。儚げな、中性的な雰囲気の男性が、少し照れたように微笑んでいる。

『この人、従兄弟の友達なんだけど、フリーなんだって! ユキにピッタリだと思うんだけど!』

ミカは昔から世話焼きで、これまでも何度か男性を紹介しようとしてくれた。しかし、そのたびに私が尻込みして、実現には至らなかったのだ。

改めて写真を見る。ギラギラした感じがない。どちらかというと、草食系…いや、もはや植物系? マイナスイオンでも出ていそうな、穏やかな空気感だ。

『名前はタカシさん。38歳。趣味は…なんか色々マニアックらしい(笑)』 『とりあえず、今週末、軽くお茶でもどう? 』

ミカの熱意に押され、半分ヤケクソでOKの返事を返した。きっと、会っても会話が弾まずに気まずい空気が流れて終わるだけだ。そう、いつものパターン。

そして週末。指定されたカフェの席で、私は「どうか面倒なことになりませんように」という、祈りに近い心境で座っていた。約束の時間ぴったりに、一人の男性が近づいてきた。 「あの…小林ユキコさんですか?」 写真で見た通りの、柔らかな雰囲気の男性だった。それが、タカシさんだった。

「はい!初めまして!」 慌てて立ち上がる。

「初めまして、高橋タカシです。ミカさんから、お話は伺っています」握手を求められた手も、ゴツゴツしていず、むしろ私より綺麗だった。

席に着き、当たり障りのない会話を始める。天気の話、映画の話。タカシさんは、どちらかというと聞き役だ。私が何か話すと、「へぇ」「そうなんですね」と相槌を打ち、時折、的を射た質問を投げかけてくる。

不思議なことに、彼と一緒にいても、これまで感じていたような男性特有の圧迫感や、居心地の悪さが全くない。むしろ、彼の穏やかな空気に包まれて、肩の力が少しずつ抜けていくのを感じた。

「ユキコさんは経理のお仕事されてるんですよね? すごいなぁ、数字に強いんですね」 「いえいえ、そんな!」 「僕、数字、全然ダメで。確定申告とか、毎年、泣きそうになりながらやってます」 そう言って、彼は眉を下げて笑った。その表情が可愛らしくて、私はクスッと笑ってしまった。

「もし良かったら、今度お手伝いしましょうか?」 思わず口をついて出た。タカシさんは、ぱっと顔を輝かせた。

「え、本当ですか!? めちゃくちゃ助かります!」子どものような笑顔だ。

気づけば、私は積極的に質問を投げかけ、彼の話を引き出そうとしていた。彼の趣味は、プラモデル作りだという。なんとなく彼らしいな、と思った。

あっという間に時間は過ぎていた。 「今日は、ありがとうございました。すごく、楽しかったです」 別れ際、タカシさんはそう言った。 「いえ、こちらこそ! 私も、楽しかったです」 それは、本心からの言葉だった。

タカシさんは、私の灰色だった日常に、彩りを与えてくれた気がした。もしかしたら、この出会いは、崖っぷちの私にとって、救世主になるのかもしれない。そんな期待を胸に、私の足取りは、いつもより軽くなっていた。

 タカシさんと私は、週に一度くらいのペースで会うようになっていた。食事したり、お茶をしたり。相変わらず彼は口数が少なく、私が喋っている方が多い。彼は時折、核心を突くような鋭いコメントをくれる。

「ユキコさんって、周りの目を気にしすぎてませんか?」 ある日のカフェでの会話。私がまた、母親からの結婚プレッシャーについて愚痴っていた時、彼はそう言った。 

「え…?」 図星を突かれて、言葉に詰まる。 

「だって、話を聞いていると、『普通はこうだから』とか、『周りはこう言ってるから』っていう言葉が多い気がして。ユキコさん自身は、どうしたいんですか?」 彼のまっすぐな瞳に見つめられ、私はたじろいだ。私はただ、世間の「普通」から外れるのが怖くて、焦っていただけなのかも。

「…どうしたいか、なんて考えたことなかったかも」

「ゆっくり考えればいいんですよ。ユキコさんの人生なんですから」 ふわりと笑ったその笑顔は、やっぱりどこか中性的で、安心感をくれる。

彼は、私のことをよく見ている。そして、私が抱える弱さや、見栄や、そういうものも全部、お見通しなのかもしれない。そんな彼に、ますます惹かれている自分に気づいた。

 そんなある日、タカシさんから「今度の週末、一緒に行きたいところがあるんだけど」と誘われた。デートのお誘い!? 私の脳内お花畑は満開だ。

「え、どこですか?」 期待に胸を膨らませて尋ねると、彼の口から出たのは、予想の斜め上を行く答えだった。

「駅前の、ホビーショップなんですけど…新しい工具が入荷したみたいで」…ホビーショップ? 工具? 一瞬、思考が停止する。え、デートだよね? 

「あ、もちろん、ユキコさんが興味なかったら、別の場所でも…!」 私の微妙な反応を察したのか、タカシさんは慌てて付け加えた。 「い、いえ! 行ってみたいです! プラモデルとか、面白そう!」 ここで断ったら、せっかくのお誘いが水の泡だ。それに、彼の好きなものを知るチャンスでもある。私は強引に自分を納得させ、笑顔で快諾した。

そして週末。ホビーショップの中は、塗料の匂いと、プラスチックの部品で埋め尽くされた、男の子と、一部の大人の夢の国だった。戦車、飛行機、アニメのロボット…色とりどりの箱が、天井まで積み上げられている。

「わぁ…すごい…」 思わず声を上げると、タカシさんは、キラキラと目を輝かせながら、店内を歩き回り始めた。

普段は物静かな彼が、こんなにも生き生きと話す姿を見るのは、新鮮だった。

その日は、ホビーショップで1時間以上過ごし、その後、近くの公園で、彼が買った工具について熱く語るのを聞きながら、缶コーヒーを飲んだ。ロマンチックとは程遠いデートだったけれど、彼の新たな一面を知ることができて、これはこれでありかも。

帰り道、 「すみません、今日は付き合わせちゃって…退屈でしたよね?」

「ううん、全然! タカシさんの好きなものが知れて、嬉しかったです」 それは本心だった。

「それに、あんなに楽しそうなタカシさん、初めて見ました」 そう言うと、彼は照れたように俯いた。私は、この不思議な男性、タカシさんのことが、どうしようもなく好きになっているみたいだ。

タカシさんとの関係は、少しずつ変化していった。彼は口数は少ないけれど、時折見せる眼差しや気遣いに、私は好意を感じるようになっていた。そして、私も、彼に対する気持ちが、「好意」から「愛情」に変わっていることを自覚していた。

ついに、その日はやってきた。 金曜の夜、食事の帰り道。 「…この後、僕の部屋に寄っていきませんか?」 タカシさんが、そう切り出したのだ。

キタ…! ついにキターッ! 40年間、待ち焦がれていた瞬間。これまで、意識しないように蓋をしてきた未知の世界への扉が、今、開かれようとしている。

「…はい。お邪魔します」 平静を装って答えるのが、精一杯だった。内心は大荒れだ。

 (ど、どうしよう! そもそも、どうすればいいの!? 何も知らないんですけど!?)

彼の部屋は、想像通り、綺麗に片付いていた。本棚には専門書や小説が並び、部屋の隅には、作りかけのプラモデルが置かれている。

「どうぞ。適当に座ってください」 促されるままにソファに腰を下ろす。タカシさんは、キッチンでお茶の準備をしている。それを見つめながら、私の緊張は最高潮に達していた。(やばい、やばい、やばい…!)(神様、仏様、タカシ様…どうか、お手柔らかに…!)

お茶を飲みながら、当たり障りのない会話を続ける。でも部屋には、微妙な空気が漂っている。

やがて、会話が途切れた。タカシさんが、私の隣に座り直し、ゆっくりと私の肩に手を置いた。

「…ユキコさん」 彼の声が聞こえる。どうしようと思いながらも目をぎゅっと瞑る。しかし、次の瞬間、予想していた展開とは違う言葉が、彼の口から発せられた。

「…怖いですか?」え? 思わず顔を上げる。

「…すごく緊張してるみたいだから…無理しなくていいんですよ」 彼の言葉に、私の目から、堰を切ったように涙が溢れ出した。

驚いたタカシさんは、あたふたとティッシュを探してくれる。

「ご、ごめんなさい! 嫌とかじゃなくて…! …私…こういうの、初めてで…!」 号泣しながら、私は打ち明けた。40歳にもなって、こんなことで泣き出すなんて‥. きっと、幻滅されただろう。

しかし、タカシさんは、優しい顔で微笑んで、そっと私のことを抱きしめた。

「大丈夫」彼の腕の中は、温かくて、安心できた。男性に抱きしめられるのが、こんなにも心地よいものだなんて、知らなかった。

その夜は、結局、何もなかった。私たちは、ただソファで寄り添って、他愛のない話をしたり、彼が作ったプラモデルを見たりして過ごした。それでも、私の心は、不思議なくらい満たされていた。私の気持ちを尊重してくれた彼の優しさが嬉しかった。

明け方近く、目が覚めた時には、私は彼のベッドで、彼の腕枕で眠っていた。隣で眠る彼の寝顔は、とても穏やかで、愛おしかった。

(この人となら、大丈夫かもしれない) 初めて、そう思えた。40年間、頑なに閉ざしてきた心の扉が、彼の優しさによって、少しずつ開かれていくのを感じていた。

それから数週間後。私たちは、改めて、二人だけの時間を過ごすことになった。今度は、私も、前回ほどには緊張していなかった。不安が全くないわけではないけれど、それ以上に、彼への信頼と、これから始まる未知の世界への期待感が勝っていた。

彼のキスは、とても丁寧で、優しかった。そして、その手も…。私の反応を確かめるように、ゆっくりと、焦らさずに、愛撫を進めていく。

最初は、初めての感覚への戸惑いが大きかった。でも、彼のリードに身を任せているうちに、私の体は反応し始めていた。今まで感じたことのない甘い痺れが、体の奥から湧き上がってくる。

「大丈夫?」 彼は私に、優しく問いかける。 「…うん…」そして、ついに、その瞬間が訪れた。一瞬の鋭い痛み。でも、それはすぐに、大きな、そして深い快感に変わっていった。40年間、知らなかった世界。それは、想像していたよりも、ずっと、ずっと、強烈で、甘美なものだった。私は、彼の腕の中で、何度も何度も、快楽の波に飲み込まれていった。

初めての夜が明けた。カーテンの隙間から差し込む朝の光が眩しい。隣には、穏やかな寝息を立てるタカシさんの姿。昨夜の出来事が、夢ではなかったことを物語っている。

(…終わった…) 安堵感と、達成感と、そして、経験したことのない種類の気だるさが、全身を包んでいた。恐れていた痛みは一瞬で、それ以上に、彼が与えてくれた快感の余韻が、まだ体の奥に残っている。

そっと、彼の寝顔を見る。普段、物静かで優しい彼は、昨夜は違った。優しさの中にも、情熱と、私をリードする力強さがあった。

40歳にして、新たな感情の扉が開かれた瞬間だった。私は、さらに深く、彼に溺れていく予感がした。

不意に彼が目を覚ました。彼は微笑み、私の髪を優しく撫でた。

 「おはよう、ユキコさん」  昨夜の熱っぽさとは違う、穏やかで優しい空気が流れる。

「体、大丈夫? 痛くない?」 尋ねてくる彼に、私は「大丈夫」と頷いた。実際、多少の気だるさはあるものの、不快な痛みはない。むしろ、心地よい疲労感だ。

…彼は、にっこりと微笑むと、私を再びベッドに引き寄せた。 「え? 」 「…もう一回」 (ええ!? 朝から!?) 戸惑う私に、彼のキスが再び私に火をつけた。彼は、想像を遥かに超えて、精力がある人だったのだ。

それから私の体は、まさに「開花」していった。タカシさんは、ベッドの中では驚くほど情熱的だった。40年間眠っていた私の体は、急激な変化に悲鳴を上げ…るかと思いきや、すぐに順応し始めたのだ。そして私の体は、積極的に彼を求めるようになっていた。

自分の中に、こんなにも強い欲求が眠っていたことに、自分が一番驚いていた。彼に触れられること、愛されること、そして、彼を愛することが、これほどまでに満たされることだったとは。

これまで「男性が怖い」と思っていたのは、一体何だったのだろう。タカシさんによって引き出された、私は女としてようやく開花したのだ。

タカシさんも、そんな私の変化を楽しんでいるようだった。 

「最近すごく綺麗になったね」 鏡を見ると、確かに、以前よりも肌に艶があり、表情も明るくなった気がする。心と体が満たされると、人は内側から輝き出すのだ。40歳にして始まった、初めての恋と、初めての快感。それは、私の人生を、根底から変えてしまった。

あれから、5年の月日が流れた。 

「ママ! パパ見てー! 新しいガンダム、できたよー!」 リビングに、元気な声が響き渡る。長男のハルキ、4歳だ。床には、色とりどりのプラモデルのパーツが散乱している。その隣では、長女のミオ、2歳が、クマのぬいぐるみを相手に、おままごとをしている。

そして私は、今は45歳。ソファにゆったりと腰掛け、その光景を微笑ましく眺めている。私の大きく膨らんだお腹の中には、第三子となる新しい命が宿っている。

そう、あの運命的な出会いから、私たちの人生は猛スピードで展開していったのだ。 初めての夜を経験し、気持ちを確かめ合った私たちは、それから半年ほどで結婚を決めた。私の両親は、相手が年下で、しかも奥手そうなタカシさんに戸惑いを見せていたものの、彼の誠実な人柄に触れ、最後は涙ながらに祝福してくれた。特に母は、「ユキコに、こんないい人が見つかるなんて…!」とオイオイ泣いた。

結婚生活は、想像以上に賑やかで、幸せに満ちていた。 タカシさんは、すっかり頼れる夫、優しい父親になった。週末には、ハルキと一緒にガンダムを作り、ミオが好きなキャラクターの絵を描いたりもする。お菓子作りはプロ並みで、私が疲れている時や、子供たちがぐずった時には、絶品のクッキーやケーキを焼いてくれる。

そして…私たちの夜の生活も、全く衰えを知らない。むしろ、お互いを求める気持ちはますます強くなったようだ。子供たちが寝静まった後、二人だけの時間を作ることを、私たちは何よりも大切にしている。

「ユキコ、今日も綺麗だよ」 彼は、出会った頃と変わらず、私を優しく情熱的に抱きしめてくれる。彼の腕の中にいると、私は、妻であり、母であると同時に、一人の「女」に戻れるのだ。40歳で初めて知った快感は、45歳になった今も、色褪せることなく、むしろ深みを増している。

窓の外は、穏やかな午後の陽射しが降り注いでいる。リビングには、子供たちの笑い声と、夫の優しい眼差し。そして、お腹の中の、新しい命の鼓動。これからあと何人子供が出来ちゃうのか今後どう展開していくのか楽しみだ。

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