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初体験~あの日の事覚えてる?

いつまでも若く純愛背徳
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突然届いた友達からの同窓会の知らせに、僕の胸の奥で静かに眠っていた記憶が蘇った。電話口の声に「行くよ」と答えた瞬間、20年という月日の重さが一気にのしかかってきた。僕の高校時代の思い出。その中心に彼女、僕の初体験の人、新田佳澄がいることは間違いなかった。あの頃の彼女は少し、ぽっちゃりした体型で、クラスの中では弄られることが多いキャラだった。それでも、僕にとって彼女には不思議な魅力があった。柔らかな笑顔、どこか遠くを見つめるような目の奥の静けさ。その佇まいは、彼女が何か秘密を抱えているかのように見えた。そして、それがなぜか僕を引きつけてやまない僕の初恋の女の子だった。

その感情が吹き飛ぶほどの忘れられない出来事があった。学校帰りの夕暮れ、田んぼの脇の道で彼女を見かけた。制服が泥で汚れ、片手には靴を持っている。夕陽に照らされたその姿は、どこか儚げで、現実感を失わせるほど鮮烈だった。
「え?どうしたの?大丈夫?」
結城を声をかけると、彼女は小さな声で「大丈夫」と答えた。けれど、震えた声と涙をこらえたような表情が僕の胸を掴んだ。「うち両親帰ってくるの遅いし、すぐそこだからシャワー浴びなよ。」気づいた時には、そんな言葉が口をついて出ていた。彼女は少し戸惑いながらも頷き、僕は彼女を家へと連れて帰った。家に着くと、脱衣所を案内し、タオルとスウェットを差し出した。「これ、使って。」言葉に出した瞬間、妙に意識してしまう自分に気づいた。

シャワーの音が浴室から漏れ聞こえる間、僕はドロドロの靴と制服を外の水道で泥を落としていた。女の子の制服を洗うというなんとも言えない背徳感が胸をかすめた。
しばらくして、彼女が浴室から出てきた。僕のスウェットを着た彼女は、どこか頼りなさそうで、それでもその姿に見惚れる自分がいた。髪から香るうちのシャンプーの匂いが、全く別物に感じる程頭を混乱させた。そして、湯上りの彼女の可愛さに目を奪われてしまった。
「制服の泥を落としておいたよ。今脱水してるから終わったら送っていくね。」僕がそう言って立ち上がった瞬間、彼女が静かに近づいてきて僕に抱きついた。そして、何の前触れもなく彼女の柔らかい唇が触れ合った。その感覚は、鮮やかに、深く僕の記憶に刻まれるものだった。

彼女の手が僕の背中をなぞるたびに、僕の身体中が熱を帯びていく感覚だった。言葉は一切なく、ただ互いの息遣いだけが部屋を満たしていく。全てが自然だったのか、頭は真っ白で、正直ほとんど何も覚えていない。ただ、彼女と過ごしたその瞬間、僕は18歳で大人の仲間入りをしたのだ。
事が済むと、彼女は小さな声で「ありがとう」と言い、そのまま家を出ていった。僕は「送るよ」と声を掛けたが、「ううん、一人で大丈夫」と断られ、その背中を見送ることしかできなかった。さっきまでの幸福感は一瞬にして何かを置き忘れたような喪失感に変わっていた。
さらに、翌日からの彼女は僕を避けるようになり、目も合わなくなった。何度か声をかけようとしたが、そのたびに彼女は背を向けて立ち去ってしまう。何もできなかった自分に苛立ちと後悔が募ったまま、結局そのまま卒業を迎えた。

そして、それ以来、僕は彼女とは会っていない。 あれから20年という時を経て、僕は同窓会の会場に足を運んだ。胸の中には期待と不安が渦巻いていた。懐かしい顔ぶれの中で自然と探してしまったのは、もちろん彼女だった。そして、見つけた。彼女は、かつての佳澄とは全く違う姿だった。スラリとした体型、艶やかな髪、そしてどこか妖艶な微笑み。会場の空気を一変させるような存在感を放ち、彼女の周囲には自然と人が集まっていた。そんな彼女が僕に気づき、目を合わせると、静かに歩み寄ってきた。
「久しぶり、彬くん。」その声はあの頃と変わらず、僕の中に封じ込めていた記憶を一瞬で解き放った。
「あ、ああ、久しぶり。」ぎこちなく返した僕に、彼女は微笑みながら「少し話せる?」と誘ってきた。まるで周囲の視線など気にも留めない様子に、僕は高校生のあの頃とは違う彼女の強さと自信を感じていた。
会場の隅に移動し、僕たちは他愛もない会話を始めた。20年の月日があったとは思えないほど自然に言葉が出てくる自分に驚いた。彼女はとても楽しそうで、昔の彼女には見られなかった積極性を見せていた。
「今日は本当に会えてよかった。」彼女が少し照れくさそうに言った。その笑顔を見た瞬間、僕の中で長い間押し込めていた感情が動き始めた。
同窓会が終わった後、彼女から「もう少し話せない?」と誘われ、僕たちは近くのカフェへ向かった。温かい飲み物を手にしながら、僕たちは高校時代の話を振り返り、笑い合った。「覚えてるよね、あの日のこと。」彼女が切り出した言葉に、僕の心臓が跳ねた。
「うん、もちろん。忘れるはずがないよ。」彼女はふっと微笑みながら、どこか遠い目をした。
「あの時は、どうしても顔を見られなくて…あんなことしちゃって恥ずかしかったの。ただそれだけなのに…」
その言葉を聞いて、僕は驚きと安堵が入り混じった感情に包まれた。ずっと自分が彼女を傷つけたのだと思い込んでいた。それが彼女の恥ずかしさだったとは。
「僕も、どうしていいかわからなくて。結局、何もできなくてごめん。」僕がそう告げると、彼女は静かに頷いた。
「私もだよ。でも、今こうして話せて良かった。」その瞬間、20年間胸の奥に閉じ込めていたわだかまりが解けるのを感じた。
「彬くん、私ね、ずっと忘れられなかったの。」静かで真剣な声に、僕は一瞬息を呑んだ。
「僕も、同じだよ。」彼女の目が潤んでいるのがわかった。その瞳を見つめると、言葉にできない感情が溢れてきた。
「ねえ…今から…も…良い?」

20年ぶりに彼女と再び触れ合ったその瞬間、僕は言葉では表せないほどの幸福に包まれていた。
あの頃の未熟だった心と体とも違う、確かな愛情と情熱が、彼女の仕草の一つ一つから感じ取れた。
もちろんあの時の彼女も良かったけど、今の彼女は情熱なんてものではなかった。
僕だってあれから彼女もいたし、それなりに経験もしたのに。
佳澄は僕の表情を見てクスりと笑い、僕たちはその後も朝方まで肌を重ね合わせた。

僕は、あの日の彼女と、そして今目の前にいる彼女を重ね合わせながら、心の底から幸せを感じていた。
二人の関係は着実に深まり、僕は彼女と一緒にいる未来を自然に思い描くようになっていた。
こうして、20年の時を経て再び繋がった僕たちは、新しい一歩を歩み始めた。

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