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私は全て義父に奪われた

いつまでも若く禁断背徳
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村瀬春香は助手席で静かに膝の上のハンドバッグを見つめていた。

「もうすぐ着くよ」運転席の夫が穏やかな声で言う。今日は義父の伸一が60歳で定年を迎えるため、その祝いに帰省している。年に何度も訪れている場所だが、春香はこの家に近づくにつれて胸がざわめき、体が熱く心臓が早くなるのを感じていた。

「親父、俺らが来るの楽しみにしてたみたいだぞ」夫は明るく話すが、春香は曖昧に微笑むことしかできない。

春香には、この家を訪れるたびに蘇る秘密があった。それは誰にも言えない、夫にも決して知られてはならない罪深い秘密だった。

初めてここを訪れた日のことを思い出す。まだ結婚前、夫と共に挨拶に来た夜だった。食事の席で夫は義父の勧める酒を断り切れずに飲みすぎて潰れ、早々に寝室へ運ばれた。春香は申し訳なく思い、義母が亡くなって以来一人暮らしをしていた義父の手伝いをしていた。そのとき、突然お義父さんに強く腕を掴まれた。

「春香さん、悪いが……我慢できそうにない」彼の目はどこか悲しげで、それでいて底なしに欲望をたたえていた。振り払おうとした手を強引に掴まれ、春香は激しく抵抗したが、義父の腕力に敵うはずもなかった。

「あっ……やめてください……!」悲痛な叫びは途中で唇を塞がれた。義父はまったく聞く耳を持たず、春香の体を強引に奪った。夫がすぐ隣の部屋で眠る中、春香は悲しみと屈辱に震えながら、そのまま義父に奪われてしまった。

あれ以来、誰にも相談できず、夫にも打ち明けられず、胸に秘めたまま結婚生活が始まった。夫は優しいが仕事で疲れている日々が続き、夫婦の営みは徐々に減っていった。春香はそれを寂しいと思いつつも、次第に義父に強引に奪われた夜の記憶を反芻することが増えていった。

抵抗できなかったあの力強い腕、耳元で囁かれた荒い息遣い、体中に刻まれた男性の力強い痕跡。思い出すたびに胸が熱くなり、同時に罪悪感が襲ってくる。

いつからか、春香は義父との関係を拒むことができなくなっていた。むしろ、帰省するたびに夫が酔いつぶれるのを心待ちにし、義父に抱かれる夜を密かに求めるようになっていた。

車が家の前に停まると、義父が玄関で待っていた。

「春香さん、久しぶりだな」伸一の声は落ち着いていて、春香の胸を静かに揺らした。60歳になった義父の表情には、熟した男性特有の深い魅力があった。彼の眼差しが一瞬だけ春香の全身を絡めとるように動いた気がした。

「お久しぶりです、お義父さん。定年、おめでとうございます」微笑むと、義父も静かに笑った。

「ありがとう。お寿司を取ったからゆっくりしていきなさい」夫と三人で夕食をとり、酒が進むにつれ夫の顔はいつものように赤くなった。もうすぐ彼は眠ってしまう。いつものように。

「親父、今日は飲みすぎたかな……」

「大丈夫か? 先に横になったらどうだ」義父の声は優しかったが、春香にはその裏にある狙いがわかっていた。夫はやがて床に横になり、そのまま深い寝息を立てた。

「春香さん、少し飲まないか?」義父が盃を差し出した。春香は静かに受け取りながら、彼の鋭く熱い視線を感じていた。逃れられないと知りつつ、盃を傾ける。

酔いが回り始め、春香の体に熱が灯った。夫の寝息が規則正しく響く中、義父の手が静かに春香の指先に触れる。

「もう……やめなきゃいけないですよね」かすれた声で呟くと、義父の目がじっと春香を捕らえた。

「やめられるなら、とっくにやめているだろう?」春香の手を握る力が強まり、彼女の体が震えた。心の中では必死に抵抗していたが、体はすでに義父を求め始めているのが分かっていた。

「最低な嫁ですね、私」

「止められない俺も、同罪だ」義父はゆっくりと彼女を引き寄せ、そのまま強く抱きしめた。

春香は抵抗するふりをして一瞬だけ力を入れたが、やがて全身の力が抜け、義父の腕の中に深く沈んでいった。

「先にお風呂に入りなさい」

入浴後、義父の部屋の前で、春香は一度立ち止まった。寝室からは夫の寝息が静かに聞こえてくる。

夫はお酒を飲んで寝ると起きてくることはない。

もう何度も繰り返してきたことなのに、こうして扉の前に立つたび、胸の奥がざわめく。

開けるべきではない扉だと、理性が叫んでいる。

でも、春香の指先は震えながらも、ゆっくりとノブを回していた。

「入れ」低く響く声が、中から聞こえた。春香は静かに扉を開ける。

部屋の中は薄暗く、机の上に置かれた小さな明かりだけがぼんやりと光を灯していた。

義父は椅子に腰掛け、ゆっくりとグラスを傾けている。

「遅かったな」そう言って、伸一は春香を見つめた。その視線に射抜かれるような感覚がして、春香は息を詰めた。

「……お義父さん」

「どうした? ここに来たってことは、お前も分かってるはずだろう」静かにグラスを置きながら、彼は立ち上がった。

「……これで最後にしませんか」春香は、かすれた声で言った。義父はふっと笑う。

「そんなことを言いながら、お前はここにきてるじゃないか」近づいてくる義父の気配に、春香は一歩も動けなかった。

「やめるつもりなら、今すぐ出ていけばいい」そう言われても、春香の足は動かない。彼がそっと春香の頬に触れる。

「やめるのか? それとも……」優しく撫でる指の感触に、春香の体が小さく震えた。

「……最低ですね、私」

「お前だけじゃない」その言葉とともに、唇が触れ合う。春香の中で、最後に残っていた理性が完全に崩れ落ちた。

義父の腕が彼女の体をしっかりと抱きしめる。春香は抵抗するふりをしながら、彼の腕に自ら身を委ねた。夜が深まるにつれて、二人は何度も互いを求めた。

朝、春香は静かに布団から抜け出した。義父の寝息を背にしながら、そっと部屋を出る。

夫の寝室に戻ると、彼はまだ熟睡していた。隣に横になり、彼の寝顔を見つめる。

「……もう、やめなきゃ」何度もそう思った。

けれど、次の帰省を思い浮かべた瞬間、春香の胸の奥で小さな期待が生まれてしまう。

罪悪感と、それを上回る背徳の快楽。もう、この関係は終わらせることができない。

春香は目を閉じ、夫の背にそっと手を伸ばした。

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