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団地妻~妻のママ友

いつまでも若くひととき背徳裏切り

圭太郎は静かなリビングで、パソコンの画面をぼんやりと見つめていた。真夏の陽射しが窓ガラスを通してジリジリと室内に降り注ぎ、団地の中庭からは子供たちの無邪気な声が微かに聞こえてくる。妻と二人の子供たちは、第三子の出産準備のために実家に帰省中だ。ふだんは賑やかなリビングに、今は彼一人だけの静寂が広がっていた。心の中には、解放感と同時に漠然とした寂しさが入り混じる。
独り言のように呟いて、パソコンの画面に目を戻す。妻は堅実な性格で、家計のやりくりに厳しい。圭太郎の収入が多くないことを気にしているのは彼自身もわかっている。しかし、どうしようもない現状に苛立ちと焦りを感じていた。
その時、玄関のチャイムが鳴った。ふと時計を見ると午後2時過ぎ、誰だろうか。ドアを開けると、そこには同じ団地の向かいに住む詩織さんが立っていた。彼女は、息子と同じ保育園の妻のママ友さんだ。夫は単身赴任中だが、一人でも普段は明るい性格なのだが、今は明らかな不安が浮かんでいる。
「すみません。圭太郎さん…娘の具合が悪くて…」
詩織さんの手を握る娘の顔は真っ赤で、汗が滲んでいた。その姿に圭太郎の胸は一気に締め付けられた。
「どうしたんですか?大丈夫ですか?」
「エアコンが壊れちゃって、この暑さに耐えられなくて…。でも、修理は明日になるみたいで…。」
彼女の声は震え、涙を堪えるように唇を噛んでいる。その様子を見て、圭太郎は即座に決断した。
「それは大変だ。うちで休んでいってください。エアコンも効いているし、まずは体を冷やさないと。」
彼女は感謝の言葉を口にしながら、圭太郎の後について自宅に入った。彼女の娘をソファに寝かせ、扇風機を回し、冷たいおしぼりを額に置く。詩織さんは娘の手を握りしめ、優しく声をかけながら水分補給をさせていた。
「きっとすぐによくなるよ、だから、がんばろうね。」
母親としての強さと優しさが滲むその言葉に、圭太郎は彼女の強さに感心しながらも、どこかで違う感情が芽生えているのを感じていた。彼女の汗ばんだ姿が目に入る。髪が首筋に張り付き、Tシャツが身体にぴったりと張り付いている。それを見た瞬間、彼の胸の内で抑えていた感情がふと顔を覗かせた。
「いや、今はそんなことを考える時じゃない…」
圭太郎はその考えを必死に追い払うように頭を振り、詩織さんに冷たい飲み物を差し出した。
「詩織さんも、少し休んでください。娘さんが心配なのはわかりますが、詩織さん自身が倒れたら、元も子もないですよ。」
彼の言葉に、詩織さんは一瞬驚いたように彼を見つめた。優しい言葉に、彼女は肩の力が抜けたようにほっとして、微笑んだ。
「ありがとうございます。少しだけ、甘えさせてもらいます。」
「もしよければ、今夜はここで休んでいきませんか?この暑さじゃ、娘さんもぐっすり眠れないと思うので…。」
圭太郎の言葉に詩織は一瞬躊躇したが、娘の寝顔を見て意を決したように頷いた。
「すみません……。ありがとうございます、お世話になります。」
その夜、娘がようやく眠りについた頃、詩織さんは風呂を借りることにした。しばらくして、風呂上がりの彼女はバスローブ姿でリビングに現れ、髪からまだ湯気が立ち上っていた。圭太郎は彼女の姿を見て、一瞬息を飲んだ。詩織さんもその視線に気づき、少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「本当に、今日はありがとうございました。もし圭太郎さんがいなかったら、どうなっていたか…」
詩織さんは深く頭を下げ、その仕草に圭太郎は胸の奥が温かくなるのを感じた。
「いえ、大したことじゃないですよ。誰だって、同じことをしたと思います。」
「でも、私は…圭太郎さんがいてくれて、本当に良かった。」
彼女の声には、言葉にならない感謝と、どこか寂しさがにじんでいた。彼女の夫がいない孤独、誰にも頼れない不安。そのすべてが、圭太郎の胸に痛いほど伝わってきた。
「詩織さん…僕で良ければ、いつでも力になりますから。」
圭太郎がそう言った瞬間、詩織さんは彼をじっと見つめ、その目に涙が滲んでいた。そして、二人の間に静寂が訪れ、やがてお互いの感情が静かに溢れ出すのを感じた。彼女が手を伸ばし、圭太郎の手をそっと握りしめる。肌が触れ合った瞬間、二人は言葉ではなく感情で繋がった。
「…圭太郎さん、私…もうどうしたらいいのかわからない。」
彼女の震える声に、圭太郎は心の中で叫びたくなる衝動を抑えながら、彼女をそっと抱きしめた。彼女の体から伝わる温もりが、彼の心の奥深くまで届く。その瞬間、彼の中で何かが決壊した。
「詩織さん…」
圭太郎はそれ以上言葉が出なかった。彼女の香り、彼女の温もりがすべてを支配していた。そして、二人はゆっくりと距離を詰め、気づけば禁断の一線を越えていた。

翌朝、薄いカーテン越しに差し込む柔らかな朝陽が、静かに二人の横顔を照らしていた。圭太郎は目を覚まし、隣で静かに眠る詩織の姿を見つめた。彼女の穏やかな寝顔を見ていると、昨夜の出来事が夢だったかのように思えた。しかし、彼の胸の奥に残る罪悪感と共に、彼女の温もりが現実を突きつけてくる。
「俺は…何をしてしまったんだ…」圭太郎はそっと起き上がり、静かに息を吐いた。彼の頭の中では、罪悪感と彼女への抑えられない想いが入り混じり、胸が締めつけられるようだった。詩織が目を覚ますと、彼女の顔にもまた、昨夜の出来事の名残が浮かんでいた。彼女は圭太郎を見つめ、静かに囁いた。
「ごめんなさい。私、こんなこと…」圭太郎は首を横に振った。
「謝らないでください。俺も同じですから。でも、もう…」
二人はしばらく視線を交わし、互いの気持ちを確認しあうかのように沈黙を保った。彼の手は自然と彼女の手を取っていた。しかし、言葉はもういらなかった。その後、エアコンの修理は無事終了し、詩織さんと娘は無事に帰宅した。別れ際、詩織さんは深々と頭を下げ、圭太郎に感謝の言葉を伝えたが、二人の間には、言葉にならない何かが残っていた。
「また何かあったら、いつでも頼ってください。」
彼の言葉に、詩織さんはかすかに微笑みを浮かべた。しかし、その微笑にはどこか影があり、二人の心の中に残った罪の意識が見え隠れしていた。
ただ、その日以降も二人は吸い寄せられるように交わり続けた。圭太郎は、今日も詩織の家に足を運んでしまう自分を責めながらも、ドアを叩かずにはいられなかった。詩織の微笑みが彼を待っていると想像するだけで、胸が高鳴るのを抑えられなかった。

一旦彼女の家に寄り、そして自宅へ帰宅する。そんなルーティンが出来上がってしまった。
そんなある日、団地の公園で遊んでいた詩織の娘が圭太郎の元へ走ってきた。
「お父さん、おかえり!」
その瞬間、圭太郎は心臓が止まるような感覚を覚えた。周囲の視線が一斉に集まり、彼は冷や汗をかいた。詩織さんは慌てて娘を抱き上げ、周りの人たちに笑顔で謝った。
「ごめんなさい、間違っちゃったみたい。」
圭太郎はただ苦笑いをするしかできなかった。詩織さんの目が一瞬彼を見て、すぐに逸らされた。まるで、お互いの秘密を隠そうとしているように。それ以来、二人は表向きには何事もなかったかのように振る舞い続けた。しかし、彼らの心の奥底では、決して消えることのない火種がくすぶり続けていた。

詩織さんとのこの禁断の関係が、どこへ向かうのか。圭太郎にはまだ見当もつかない。だが、時折ふと浮かぶ彼女の微笑みと、胸の中に広がる静かなざわめきは、今後の彼の歩みを変えてしまうかもしれない。彼は、曖昧な未来の輪郭を手探りしながら、それでも目の前の現実に向き合うしかなかった。罪の意識と背徳感、そして彼女への募る想いが、彼の心の奥底で静かに揺れ動いていた。

その夜、圭太郎はベッドに横たわりながら、どうしようもなく詩織のことを思い出していた。彼女の微笑み、涙、そして禁断の温もり。すべてが頭の中で鮮明に蘇るたび、彼の心臓は締め付けられるような痛みを感じた。だが、どれだけ後悔しても、彼女のことを忘れることはできなかった。
「俺は、どうしてこんな気持ちになってしまったんだろう…」
彼は自分に問いかける。しかし、答えは見つからない。ただ一つ確かなのは、彼の心はもう以前のようには戻れないということだ。彼は自分の中に湧き上がる感情を押し殺しながらも、詩織への想いを捨てられないでいる自分を否定することができなかった。

翌日、午前だけで仕事を終えて帰宅すると、ポストに一通の手紙が入っていた。差出人の名前は書かれていなかったが、手書きの文字に見覚えがあった。手紙を開くと、そこには詩織さんの文字で短いメッセージが書かれていた。
「ありがとう、圭太郎さん。あなたのこと、私は決して忘れません。これ以上はお互いに踏み込まないほうがいいと思う。お互いの家族のことを考えても。あなたと過ごせた時間は、私の宝物です。どうか、私のことは忘れてください。」その言葉を読んだ瞬間、圭太郎は強烈な喪失感と共に、涙が溢れてくるのを抑えられなかった。彼女のことを忘れることなんてできない。だが、彼女が選んだ道を尊重するしかないのだ。

圭太郎は手紙をそっと胸に抱き、深い息を吐いた。彼女のためにも、自分のためにも、これ以上の関係を続けることは許されない。許されない恋、ひと時の恋、それは彼自身も理解している。しかし、彼の心の奥底で、決して消えることのない想いが、静かに燃え続けていることもまた事実だった。

ふと、窓から詩織さんの部屋を見ると、カーテンを取り外した彼女の部屋は工事の業者が作業をしているのが見えた。彼の心は永遠に戻らないものを失ったような虚無感に包まれていた。たとえもう会えないとしても、彼女の存在は彼の心に永遠に刻まれるだろう。

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