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お婿さん

いつまでも若く年の差禁断背徳裏切り

娘の佐千恵が、出産の為に私たちの家に戻ってきたのは、真冬の寒さが一段と厳しくなったある日のことだった。夫の康太君は仕事の都合でなかなか来られず、佐千恵は少し寂しそうだったが、私たち家族はできる限りのサポートをしていた。だが、佐千恵は突然早産の兆候を見せ、急遽病院に入院することになった。

その知らせを受けた康太君が、仕事を早退して病院に駆けつけてくれたのは、夕方近くになってからだった。彼の姿を見た佐千恵は安心したのか、ほっとした表情を浮かべていた。医師から入院に必要な荷物の準備を指示され、一度私たちの家に戻ることにした。

「何とか面会時間までに戻れると思います。すぐに向かいましょう。」と、彼は私に向かって言い、私たちは一緒に自宅へと走り出した。

家は病院から車で50分ほど走るかなり山奥にあり、積もりそうな雪が降り始めていた。雪で視界が悪かったため安全運転で家に到着すると、すでに19時前だった。事前に連絡しておいたため、玄関先にはある程度の荷物を用意して待ってくれていた。「かなり積もるぞ。気を付けていけ」と心配そうに尋ねる夫に、私は急いで状況を伝えた。
「着替えだけじゃなく、毛布やカイロも持って行け。夜は冷え込むだろうからな。あと、飲み物とお菓子類も持って行くんだ。病院で食べられるように、柔らかい物がいいな。」と夫は手際よく指示を出した。

そのおかげで、私たちは必要なものをすべて揃えることができた。夫が準備してくれた毛布やお菓子は、あの後私たちの命を救うことになるとは、この時は思いもよらなかった。

「気を付けるんだよ」と、夫は康太君と私に優しく言い、私たちを送り出してくれた。彼の心配そうな表情を胸に刻みながら、私たちは再び病院へと急いだ。

外に出ると、既に雪は激しく降り始めていた。風は氷の刃のように頬を切り裂き、私たちの視界を白く奪っていく。先ほどまで乗っていたので温かいはずの車なのに、既に車内は冷たく感じられた。道路はすっかり雪に覆われ、康太君はさらに慎重に車を進めていった。

だが、山道を下る途中で、車が雪にとらわれ、動けなくなってしまった。何度もタイヤを空回りさせても、車は深い雪の中で身動き一つしなかった。

「くそ、これじゃどうしようもない……」康太君はハンドルを叩き、困り果てた表情で私を見た。

私は携帯電話を取り出し、夫に連絡を取ろうと試みたが、表示されたのは「圏外」の文字だった。電波のない場所に来てしまったのだ。何度もアンテナを確認し、車の外に出て近くをうろうろしながら必死に電波を探したが、どこにも繋がる気配はなかった。少し外に出て歩いただけで全身に雪を被り体力を奪われた。

「繋がらない……」私は呟き、康太君も渋い顔をして窓の外を見た。風が轟々と吹きすさび、車の屋根に雪が積もる音が聞こえる。まるで私たちを外界から隔てるように、雪が車を包み込んでいた。

「車を押してみます。運転変わってもらえますか……」康太君が言うと、車のドアを開け、外に出た。一生懸命押してくれたらびくともしない。私は車のギアをドライブに入れ、私も車から降り、車を押すように回った。寒さが体を貫くようで、手がかじかんで指先の感覚が失われそうだった。それでも二人で車を押したが、重くなった雪に車はびくともしなかった。

「……無理だ。車に戻ろう。」康太君の顔には、焦りと疲労が見え隠れしていた。

車内に戻り、私たちは無言で座った。ガラス窓を叩く雪の音が、ますます私たちの心を重くしていく。しばらくして、ふいに電波が一瞬復活し、私はすぐさま義父にメッセージを打った。「雪で動けません。病院に行けないかも。」しかし、送信できたかどうかもわからないまま、また圏外の表示に戻ってしまった。

「少しだけ繋がったみたい……。でも、これじゃどうにもならないわね……」不安を押し殺すように、持ってきた毛布を康太君の足と私の足に掛けた。

時間が経つにつれて、車内の温度がどんどん下がっていく。エンジンを切らざるを得なかったため、暖房も使えない。車外は猛吹雪で、風が車体を揺らし、まるで私たちを試すように冷気が忍び込んでくる。

「康太君、寒くない?」私は彼を気遣って声をかけたが、実は私自身が震えていた。彼は「義母さんこそ、大丈夫ですか?」と答え、私に毛布をもっと近づけるよう促した。その優しさが、逆に私の心を痛めた。

準備していた毛布やお菓子で、何とか空腹をしのいだ。夫が持たせてくれたカイロがかすかな温もりを与えてくれるが、それでも車内の寒さは骨の髄まで冷え込むようだった。

寒さと孤立感からくる不安が、私たちを少しずつ追い詰めていった。このままここで凍え死んでしまうかもしれない、そんな恐怖が心の奥から湧き上がってきた。

「私たち、もしかしたら……」声が震え、最後の言葉が喉に詰まった。康太君は驚いたように私を見つめたが、すぐにその目が柔らかくなり、私の手をそっと包んだ。

「大丈夫です、僕が守りますから」と言いながらも、彼の手は震えていた。その手の温もりが、私はとても愛おしく感じた。

「……義母さん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ。」彼は私を見つめ、声の奥に小さな覚悟がにじんでいた。

「……うん。寒いわ…」私の言葉は、思わず震えていた。彼は、「そっち行って良いですか?このままでは死んでしまいます。温めないと」と、彼は私の手を強く握った。

彼は助手席に移動し、私を覆うように抱きしめてくれた。寒さに震えながら、私たちはお互いに寄り添い、身を寄せ合って温め合った。外は吹雪で真っ白になり、まるで世界に私たち二人だけが取り残されたような気分だった。

風の音はするはずなのに、何故か無音の中にいるような不思議な感覚。その時、二人の間には何かが芽生え始めていた。このまま死ぬのかもしれない。そう思うと、理性や道徳観念などどうでもよくなっていた。今この瞬間、互いを抱きしめていることが唯一の安心感だった。

私は康太君の顔を見つめ、彼も私の目を見返してきた。唇を重ねると、そこに不思議な安らぎを感じた。お互いの温もりを求めるように、私は康太君を強く抱きしめた。

気付いた時には、お互いの体は熱くなり、求めあうように私と康太君は関係を持ってしまっていた。熱い交わりが終わり、ぬくもりを頼りにしながら、凍えるような夜を支え合った。眠ることもできず、ただ震える体を寄せ合い、心の中で祈り続けた。

翌朝、重機の音で目を覚ました。いつの間にか意識を失っていたようだ。雪を掻き分け、私たちを助けに来てくれたのだ。康太君と私は目を合わせ、一瞬言葉を失った。

「今日のことは……」康太君が言いかけた。私は彼の言葉を遮るように小さく頷いた。「うん、何も無かった。何も無かったのよ。」

お互いに固くそう約束をした。その後、私たちは車を引っ張ってもらい、立ち往生からようやく脱出することが出来た。

これから先、雪を見るとこの夜のことを思い出してしまうだろう。私たちがあの雪の夜に感じたお互いの温もりは、決して誰にも言えない秘密の出来事となった。

その後、佐千恵の出産は無事に終わり、私たちは家族としての生活を取り戻した。康太君とは何もなかったかのように接し続けている。だが、あの夜に交わした言葉は、私たちの胸に刻まれている。これからも、この秘密を守り続けながら生きていくのだ。

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