PR

義理の母

秋が深まり、町の片隅では落ち葉が舗道を覆い、冷たい風が吹き抜けていた。その中で達男は、なみへの感情に身を任せている自分に戸惑いを感じつつも、それを受け入れ始めていた。母であり、かつ一人の女性としての二重の顔を持つなみに対する彼の感情は、日常のさまざまな瞬間において緊張を引き起こしていた。

なみは名義上、達男の母にあたる。彼の父、一郎の後妻である。しかし、70歳を超える一郎は長い入院生活を送っておりもう余命は長くない。家ではなみと達男だけで共に暮らしていた。40歳前半のなみは、若々しく、生命力に溢れた美しさを保っていた。二人の間に子どもはおらず、達男は一郎の先妻との間の子であった。

この不思議な状況は、外から見れば、彼らが夫婦であるかのように見えたかもしれない。なみはこの状況を楽しんでいるようで、時折、達男を無邪気に惑わせ、彼の心に禁断の芽生えを促しているかのようだった。

ある冷え込む夜、なみは達男をリビングに呼び出した。柔らかな照明が灯り、外の風が窓を叩いている中、二人は向かい合って座った。静寂が流れた後、なみが言葉を紡ぎ始めた。「達男さん、私たち、普通の家族とは少し違うわよね。どう思う?」

その問いかけには、とまどいが混じりつつも、重さがあった。達男は、自らの感情の渦中にいながらも、答えを見つけ出そうとした。「なみさん、あなたは僕にとって非常に大切な人です。でも、この感情が具体的に何を意味するのか、自分でもよくわからない。」

なみは微笑みながら達男の手を握り、そのぬくもりが彼の心を激しく揺さぶった。達男は自分の中の戸惑いを感じつつも、なみへの愛情とも呼べる感情を認めざるを得なかった。

「達男さん、私たちはこれからどうしたら良いと思う?」なみの問いかけに、達男は深く息を吸い込み、彼女の瞳を真っ直ぐに見返した。「わからない。でも、あなたと一緒にいると心が落ち着きます。それだけは確かです。」

その瞬間、二人の間の空気が変わり、何かが深まった感覚に包まれた。禁断の感情の行方は未知数だが、この瞬間において、互いに寄り添うことで得られる心の平安を実感していた。

この夜を境に、達男は自分の感情を隠さずになみと真摯に向き合う決意を固めた。彼は、心の葛藤を乗り越え、自分自身と向き合う勇気から、なみとの間に築かれた特別な絆を大切にし、未来への一歩を踏み出すことを心に誓った。

タイトルとURLをコピーしました