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異常な程胸を触るセクハラ医

いつまでも若く感動
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向田真子は、診察台に座りながら目の前の医師を睨むように見ていた。胸に当てられた医師の手が、明らかに普通の触診よりも長く留まっている。
「なにこれ……?」心の中で不快感が膨れ上がる。看護師は席を外しているのか周りには誰もいない。
彼の手の動きは執拗とも思えるほど慎重で、聴診器は胸の一部分にずっと当てられたままだ。
「これ、セクハラなんじゃないの?」
そんな考えが頭を過ぎるが、診察医の顔は真剣そのもの。時折、眉間に皺を寄せ、何かを確認するような仕草を見せている。それが逆に疑念を深めた。触る理由を説明するでもなく、必要以上に長い時間胸に触れてくる手の感触に、真子の体は強ばっていった。

「いつ終わるの……早く…」

心の中で叫ぶものの、恥ずかしくて声には出せない。ただ、看護師が診察室に戻ってきた瞬間、医師はようやく手を引っ込めた。真子は言いようのない怒りと恥ずかしさに胸を押さえながら心の中で深いため息をついていた。
「もう二度とこんな診療所に来ない!」診察が終わった後、診療所を出ながら真子はそう心に決めた。

私の名前は向田真子、37歳。大手企業で事務職をしている彼女にとって、健康診断は毎年のルーティンの一つだった。しかし今年は体調を崩し、会社での健診を欠席してしまった。仕方なく、近所の診療所で代わりの健診を受けることにしたのだが、あの診察がトラウマのように頭に残っていた。
「胸をあんなにまさぐる必要なんてあるわけないでしょ……」
診療所の外観も古びており、患者も少なく、どこか頼りない印象。若い医師の無言の触診が嫌悪感を増幅させた。真子は、あの日の出来事を思い出すたびにイライラしていた。

数週間後、健康診断の結果が届いた。が、封筒を開けると、「要再検査」と赤い文字が真っ先に飛び込んできた。驚きと不安で心臓がドキリと鳴る。詳細を見ると「乳がんの疑いあり」と記載されていた。
「えっ、乳がん?」青ざめながらも、あの診療所で乳がんの検査を受けた覚えはない。ただ思い出すのは、あの若い医師が執拗に胸を触ってきたことだけだった。真子は半信半疑ながらも、再びあの診療所を訪れることにした。

診療所に着くと、相変わらず患者の姿は少なく、古びた雰囲気が漂っていた。診察室に通されると、前回と同じ若い医師が座っていた。彼は真子の顔を見ると軽く頷き、「来てくれたんですね」と穏やかに尋ねてきた。

真子は、郵送されてきた健診結果を手渡し、「これ、本当なんでしょうか?」と問い詰めるように言った。医師は真剣な表情で結果に目を通し、「はい。すみません、もう一度じっくりと診させてもらえますか?」と提案してきた。

「またあの触診をされるの?」

真子は嫌な予感を覚えつつも、断ることもできず、渋々診察台に座った。再び胸に手が当てられると、前回と同じように長い時間が過ぎていった。言葉としての表現は、まさしく胸をまさぐっている。気持ち悪いし不快感が募り、今にも訴えたい。

だが、そのとき医師が静かに口を開いた。「向田さん、落ち着いて聞いて下さい。僕は乳がんの専門医ではありませんが、どうしても気になるんです。一度専門医に行っていただけませんか?紹介状を書きますので。」

彼のその真摯な口調に、真子は反論する気力を失った。ただ触りたいだけではないのかもしれない……そんな疑念とともに紹介状を受け取った。

数日後、紹介された大病院での精密検査の結果、真子は本当に乳がんであることが判明した。診断を告げられたとき、真子の頭は真っ白になった。
「幸い、早期発見でした。腫瘍の位置が胸の奥深く、普通の健診では絶対に見つけられないような場所でした。もし気づかれずに大きくなっていたら、非常に危険な状態になっていたでしょう。」と、医師の説明を聞き、背筋が凍る思いだった。

その後、担当の女性医師が紹介状を見ながら「この先生は、すごい方なんですよ」とぽつりと言った。「以前は大学病院で名医として名を馳せていました。でも、触診で患者さんに誤解され、セクハラで訴えられたんです。その騒動で辞めざるを得なくなり、今はあの診療所にいらっしゃるんです。」
担当医はどこか残念そうに眉を下げた。「マスコミが大騒ぎしたせいで、彼は大きな病院では働けなくなってしまったようで…。ひっそりとこんなところで働いていたんですね……。彼の触診の精度は非常に高いんです。本当に名医なのに…。」そう呟いた後、「あ、全然関係ない話をしてしまいましたね。失礼しました」と慌てて謝る姿が、妙に印象に残った。

手術を無事に終えた真子は、あの診療所を再び訪れた。医師はいつものように落ち着いた様子で診察室に座っていた。
「手術、無事に終わりましたか?」と柔らかく声をかけられた瞬間、真子は感情が込み上げ、自然と頭を下げていた。
「先生、本当にありがとうございました。先生のおかげで、早く見つけてもらえました。ありがとうございました…正直な話……最初はセクハラ医者かと思っていました……ごめんなさい。失礼なことをばかりいって申し訳ありません。」
その言葉に医師は目を丸くし、少し照れくさそうに微笑んだ。「いえいえ、僕が不器用なせいですね……ご不快な思いをさせてしまったなら、申し訳ありません。」
「もうちょっと喋ってくれたら、安心感もあるんです。ってまた、偉そうにごめんなさい。」
「いえいえ、本当のことですから。そう言って伝えていただけるだけで嬉しいですよ」そう言う、彼の不器用さがかえって素敵だなと思える瞬間だった。

診療所を出た帰り道、真子はふと立ち止まり、「もしあの日、あの医者に診てもらっていなかったら……」と考え、全身に感謝の思いが広がっていくのを感じた。助けてもらった命、自分の体験を話すことで、こうして少しずつ先生に返していこうと、真子は静かに決意した。

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