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妻の妹~妻の代わりに

いつまでも若く禁断純愛
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フライパンの中でジュウジュウと音を立てる野菜炒めを見つめながら、俺は深いため息をついた。彩りだけは悪くない。キャベツ、人参、玉ねぎ、ピーマン、豚肉。見よう見まねでそれなりに切り、炒めたつもりだったが、味付けがまるでわからず、適当に塩を振ったのが失敗だった。味見をしてみると、舌がしびれるほどしょっぱい。 

「結局、カップ麺か……」  棚を開けて、奥に眠っていたカップ麺を取り出した。いつ買ったのかわからないが、まあ食えなくはないだろう。これが今の俺の生活だった。半年前に真奈美が出て行ってから、ずっとこんな感じだ。  妻が浮気相手について行き、あっさりと離婚。そのときの条件として、共有名義だったこのマンションは俺のものになった。だが、正直、一人で暮らすには広すぎる。四つある部屋のうち、二つはほぼ物置と化しているし、リビングにいても空間の無駄を感じる。最初は夫婦での未来を思い描いて買ったはずなのに、今や虚しさしか残らない。 

 そんなことを考えながら、カップ麺にお湯を注ごうとしたとき… ピンポンとインターホンが鳴った。こんな時間に誰だ?モニターを確認すると、そこに映っていたのは思いがけない人物だった。 「…沙友里?」玄関を開けると、真奈美の妹であり、俺の同級生でクラスメイトでもある沙友里が、ニコリともせずに立っていた。
「何?」
「何、じゃないでしょ。清志くん、どうせ家めちゃくちゃなんでしょ?」ずいぶんと手厳しい第一声だ。
「そんなこと…」
「はいはい、言い訳はいいの。これ、差し入れ」  言いながら、沙友里はビニール袋を手渡してきた。中にはタッパーに入った煮物や、お浸しらしきものがぎっしり詰まっている。
「どうせまともなもの食べてないでしょ」
「そんなことないって」
「ふーん、じゃあ今何食べようとしてた?」  言われて、俺は仕方なくフライパンを指差した。
「野菜炒め。ちゃんと自炊してるぞ」
「どれどれ?」  沙友里はフライパンを覗き込み、箸でひとすくい取ると、口に運んだ。そして、次の瞬間…「から!しょっぱすぎるよ! 病気になるよ!」ひどく眉をしかめながら、俺の肩を軽く叩いてくる。
「いや、そんなに言わなくても……」
「よくこれで『ちゃんと自炊してる』なんて言えるね。」差し出された煮物を食べると、口の中に優しい味が広がる。ちょうどいい甘辛さで、出汁の香りがしっかり効いている。
「…美味い」
「当たり前でしょ。そんなんじゃ倒れちゃうよ。」  そう言いながら、沙友里はさっさと冷蔵庫を開け、残った野菜を取り出す。慣れた手つきで包丁を握る姿を見ていると、なんだか妙に安心してしまった。  沙友里とは、真奈美との結婚の挨拶に実家に挨拶に行ったら沙友里がいてびっくりしたことを今でも覚えている。そのときの沙友里は驚いたような、複雑な表情をしていた。それが今、こうして俺のキッチンで料理をしている。
「ほら、できたよ。ちゃんと味見しながら作ったからね」  出された野菜炒めを口に運ぶと、さっきの失敗作とは比べ物にならないほど美味しかった。
「…うまいよ、ほんとに」  得意げに笑う沙友里を見ながら、俺は心のどこかでこの時間がずっと続けばいいのにと思っていた。  それからというもの、沙友里はほぼ毎日のように俺の家に来るようになった。
「今日の夕飯は何食べたい?」
「え、何でも良いよ?」
「うん。カレー作るから、ご飯炊いておいて」
 こんなやり取りが、いつの間にか当たり前になった。最初は差し入れを持ってくるだけだったのが、いつの間にか家で料理を作るようになり、ついでに掃除までしてくれるようになった。
「お前、本当にこんなにしてくれて大丈夫か?」
「私は平気だよ。お姉ちゃんの代わりだと思ってくれればいいから」  その言葉に、胸がチクリと痛んだ。真奈美の代わり。そう言われてしまうと、それ以上何も言えなくなる。だけど、いくら沙友里がそう言っても、俺は申し訳なさを感じずにはいられなかった。食材は彼女が自腹で買ってきてくれるし、いろいろと自分で出してくれている。俺が負担すると言っても、頑なに拒否する。そして、とうとう俺は申し訳なさに耐えきれずに言ってしまった。
「無理して来なくていいよ」その瞬間、沙友里の手が止まった。
「……え?」
「俺、そういうの好きじゃないんだよ。お前が責任感じてるのはわかる。でも、俺からしたら、お前にそこまでしてもらうのは苦痛なんだ」じっと俺を見つめていた沙友里の目が、次第に揺らぎ始めた。
「…わかった。もう来ない」低く呟くと、沙友里は荷物を持ち、玄関へ向かった。
「そうじゃないんだよ。俺が言いたいのは…」
「もういいよ。私じゃ、お姉ちゃんの代わりにはなれないから」振り返った彼女の目には、涙が滲んでいた。俺は何も言えず、ただドアが閉まるのを黙って見送るしかなかった…。

沙友里がいなくなって、俺の生活は元に戻った。  また外食とコンビニ弁当の日々。慣れたはずの一人の食事が、やけに味気なく感じる。半年前に真奈美が出て行ったときも寂しさはあった。でも、あれは「二人だったのが一人になった寂しさ」だった。今感じているのは、それとは違う。沙友里がいないことの寂しさ。誰かが家に来て、料理を作り、片付けをして、何気ない会話をする。そんな日常を、俺は当たり前のように思っていた。でも、それは当たり前なんかじゃなかったんだと、今さら気づく。 だけど、自分から「もう来なくていい」なんて言っておいて、今さら呼び戻すことなんてできない。 

そんなある日… ピンポンとインターホンが鳴った。  まさか、と思いながらモニターを見る。そこに映っていたのは、俺が予想もしなかった人物だった。 元妻、真奈美だった。
「……何の用?」ドアを開けるか迷ったが、とりあえずオートロックを解除する。 真奈美は、入ってくるなり部屋を見回して呆れたように言った。
「相変わらず散らかってるね。たまには掃除したら?」
「余計なお世話だよ」
「ふーん……」  何が目的なのか、わからないまま真奈美を見つめる。すると彼女は、いきなり核心をつくような言葉を投げてきた。
「ねえ、清志。あんた、沙友里のこと嫌いなの」俺は一瞬、言葉を失った。
「…何を言ってるんだ」
「とぼけないで。沙友里から聞いたんだよ。『もう来なくていいって』って」心臓がドクンと跳ねる。
「あの子、バカみたいに泣きながら言ってたよ。『結局、私はお姉ちゃんの代わりにもなれなかった』ってさ」
 俺の胸が、締め付けられるように痛くなる。
「…お前が、わざわざそれを言いに来たのか?」
「違うよ。沙友里を泣かせたことに、文句を言いに来たの。」真奈美の目が鋭く光る。
「私は浮気して出て行ったし、それを責められても仕方ない。でもね、あんたが沙友里を泣かせるのは許さない。絶対に」
「……」
「浮気した言い訳なんてしないよ。でもね、私は寂しかった。あんた、ちゃんと向き合ってくれなかったじゃん。私は最後の最後までずっと一人だった。沙友里には、そんな思いをさせないで」
それを聞いて、俺は初めて真奈美が浮気した理由を理解した。俺は、何も言えなかった。いや、何を言っても、言い訳にしかならない気がした。
「それだけ。じゃあね」そう言って、真奈美はさっさと帰っていった。俺はしばらくその場に立ち尽くし、そして決意した。沙友里に、ちゃんと向き合おう。そして、もう一度やり直したいと伝えよう。
それから数日後、俺は沙友里に会うために連絡をした。もちろん、最初は電話もLINEも無視された。だから、最後の手段に出ることにした。実家に電話をかけたのだ。
「どうしても話したいことがあるんです。」  俺がそう伝えると、沙友里の母親は「必ず行かせます」と言ってくれた。 指定した日に、沙友里は現れた。玄関を開けると、以前と変わらぬ沙友里が立っていた。ただ、その表情は固かった。
「…何?」
「ちょっと、話したい」沙友里は無言のまま、リビングのソファに座る。俺も向かいに座った。  静かな空気が流れる中、俺はゆっくりと言葉を選びながら話し始めた。 「真奈美が、俺がお前の事きらいなのかって聞かれたよ」沙友里の表情が一瞬強張る。
「嫌いなんかじゃないよ。…自分の気持ちを誤魔化してた」俺は、彼女の目を見つめる。
「俺、お前と一緒にいたい」沙友里の肩がピクリと動く。
「でも、このマンションには嫌な思い出が多すぎる。だから、新しいマンションを探そう。一緒に」その言葉に、沙友里は目を丸くする。
「え……?」
「新しい場所で、お前と二人で、新しい生活を始めたい」 沙友里はしばらく俺を見つめていた。そして、ゆっくりと目に涙を浮かべながら、微笑んだ。
「……それって、プロポーズな…の…?」
「……そういうこと」俺がそう答えると、沙友里は涙をぬぐいながら、ぎゅっと俺に抱きついてきた。
「……うん。私も、清志くんと一緒にいたい」  静かに囁く声が、俺の胸に沁みた。 この腕の中にある温もりを、俺はもう二度と手放さないと誓った…。 

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