PR

隣の人妻

静謐な夏の午後、雄一は庭の手入れをしていた。彼にとって、普段の仕事から離れ、手に土をつけるこの瞬間は、珍しく地に足がついた実感と達成感を与えてくれる貴重な時間だった。そんなとき、石鹸のさわやかな香りが彼の心の静けさを優しく揺さぶった。振り返ると、そこには恵子が立っていた。彼女は夏の日差しを浴び、その姿がひときわ輝いて見えた。恵子の目は、太陽をも凌ぐ輝きで、「暑い中、無理は禁物ですよ」と優しく言い、麦茶を差し入れてくれた。

恵子は、高校時代の妻の友人であり、偶然にも隣へ引っ越ししてきたお隣さんとなった。彼女は特別な美人ではないが、笑顔がよく似合う魅力的な女性だ。雄一は恵子と目を合わせるたびに、彼女の瞳に吸い込まれていくような感覚に陥っていた。この出会いはただの偶然を超え、何か新しいことが起きそうな感覚だった。

恵子夫妻からの食事のお誘いは、雄一にとってわずかな緊張を伴うものだった。しかし、食事会が始まると、恵子の人懐っこさと場を和ませる能力によって、雄一は徐々に心を奪われ始めた。彼女の笑顔、話し方、さりげない身振りが、雄一の心の中で何かを刺激した。共に過ごす時間の中で、恵子が時折見せる微かな表情や、無意識のうちに触れられた彼女の柔らかな手が、雄一の心を深く揺さぶった。
特に恵子の目を見ると、吸い込まれそうな感覚になる。食事会以降、雄一は自分の感情に戸惑いを隠せなくなっていた。恵子とのさりげないやり取りは、彼の日常に新たな色を加え始めていた。

ある日の午後、庭で手入れをしていた際に「暑い中、無理は禁物ですよ」と恵子は麦茶を持ってきてくれた。透き通るような白い肌と健康的な体で夏らしい装いの彼女。目のやり場に困りながら「あ、あぁ。ありがとうございます」と答え、一気に飲み干した。そのコップを返そうとした瞬間、恵子が優しく雄一の首筋を触ってきた。「うわっ、熱くなってますね。熱中症にならないように気を付けてくださいね」との言葉に、雄一は心だけではなく体の芯まで熱くなった。恵子の笑顔、その瞳から目を離すことが出来ない。どれほどの時間をそこに立ち尽くしていたかもわからない。この出来事でその感情は決定的なものへと変わった。彼女の瞳に見つめられることで、雄一の心は完全に恵子に奪われてしまったのだ。

しかしその時、妻の車が帰宅するのが見え、恵子は妻に手を振って自分の家に戻っていった。妻が車から降り、「おかえり」と声をかけると、「ただいま、今恵子何しに来てたの?」と尋ねた。雄一は「あ、あぁ。差し入れで麦茶を持ってきてくれたんだよ」と答えた。「ふーん」と妻は家に入っていった。

その日の夕食時、妻からの「恵子とは少し距離を置いて欲しいの」という忠告があった。恵子は昔から無意識に人を惹きつけるタイプで、過去には友人の彼氏を寝取るような問題を起こしたことがあるという。しかし、妻の言葉を耳にしながらも、雄一の心は既に恵子のことで頭がいっぱいだった。彼女の瞳、声、そしてほのかに漂う色気が、雄一の心を揺らし続けていた。

雄一は自分の感情と向き合い、ずっと恵子のことを考えていた。妻に対する罪悪感はもちろんあったが、恵子への想いは日に日に強くなり、彼の心の中で特別な場所を占めるようになった。ベランダで一服をしながら、隣のベランダでは恵子が洗濯物を取り込んでいた。目が合い恵子が手を振ってきた。その瞬間、雄一は自分の心に正直になる決意をした。どんな結末が待っているかはわからないが、もう恵子のことしか考えられない。妻からの忠告にもかかわらず、既に心を奪われてしまっている雄一であった。

タイトルとURLをコピーしました