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親友と妻~寝取られていた

いつまでも若く禁断背徳

伸一は、また一人でリビングのソファに沈んでいた。仕事から帰ると、いつもは温かいはずの家の空気がどこか冷たく感じられる。かつて優香が迎えてくれたその場所には、今ではただの虚しさが漂っているだけだった。テレビの音が薄く部屋を満たし、リビングの灯りさえどこか遠く感じる。伸一は無言でビールの缶を開け、一口飲む。喉を通る苦味がやけに重く、心の中にじわりと染み込んでくる。

「優香、どこにいるんだ?」静かな部屋に響く自分の声が、あまりにも寂しく、切なかった。返事はなく、伸一はゆっくりと立ち上がる。キッチンには誰もおらず、寝室のドアをそっと開けると、ベッドの端に座り込んでスマホを見つめる優香がいた。その表情は遠くを見ているようで、伸一にはもはや届かない世界にいるかのようだった。伸一は何か言おうとしたが、言葉が喉に詰まり、静かに扉を閉じた。

その夜、伸一は一人でビールを飲み続けた。視線の先に浮かぶのは、優香と過ごした幸せだった日々。結婚当初はどんなに仕事で疲れていても、優香の笑顔があればすべてが報われた。それなのに、今では優香の隣にいても彼女の笑顔はなく、ただ義務的に過ごす毎日が続いている。二人の間にある見えない壁に気づきながらも、伸一はその現実から目を逸らしてきた。

「もう、6年になるのか…」伸一は思い返す。優香が啓介と親しくなったのは、あの頃だった。我が家で飲み会をするたびに二人の距離が縮まっていくのを、伸一は感じていた。問い詰めることもできず、見て見ぬふりを続けたのは、きっと自分がこの現実を認めるのが怖かったからだろう。当初は頻繁に我が家で飲み会を開いていたが、ここ1年ほどはもう全く開いてはいなかった。疑いの種は心の中にずっとあったのに、それを確認するのが怖くて口にすることは一度もなかった。

翌朝、伸一は重い足取りで会社に向かったが、仕事はまったく手につかなかった。昼休みに外に出ると、無意識にスマホを取り出し、連絡先をスクロールする。そこには、親友であり同僚の啓介の名前があった。最近は彼とも会う機会が減り、連絡すら取っていなかった。「今夜、飲みに行かないか?」そんな短いメッセージを送ると、すぐに「ごめん、今日は無理だわ」と返事が来た。伸一はため息をつき、スマホをポケットにしまう。啓介も忙しいことは理解していたが、断られるたびに伸一は孤独感に苛まれた。

数日後、会社の掲示板に出張と偽って、伸一は突然啓介の家を訪れることにした。チャイムを押す手が震えたが、それでも、啓介なら話を聞いてくれるかもしれない、そんな期待を抱いていた。しかし、玄関前に立った瞬間、伸一の視線は窓越しのリビングに吸い込まれた。そこには、啓介と優香が並んで座っていた。啓介の手が優香の肩に触れているのを見た瞬間、伸一の胸が引き裂かれるような痛みが走った。

「そうか…これが現実なんだな…」声に出さず呟いたが、心の中では何度も繰り返していた。6年間、どこかで気づいていたはずの現実が、今目の前で確信に変わった。窓越しに見える啓介と優香の姿は、あまりにも自然で、まるで長い時間を共にしてきた二人のようだった。伸一はその場を離れたくても、足が動かず、ただ呆然とその光景を見つめるしかなかった。

次の日、伸一は優香に問いかけた。「お前、啓介のこと、どう思ってるんだ?」その問いかけに、優香は一瞬驚いた顔をしながらも、すぐに目を逸らした。「何にもないよ。ただ…話を聞いてもらってただけ…」だが、その声には微かに震えが混じり、嘘を隠しきれない表情が浮かんでいた。伸一はそれ以上追及することもできず、ただ無言でリビングに戻った。

翌朝、伸一は啓介に電話を掛けた。「今週、久々にまた家で飲もうぜ。来てくれよ、優香も喜ぶからさ。」無理して明るく振舞ったが、啓介は戸惑っているようだった。

その飲み会当日、伸一は全てを忘れるように浴びるようにお酒を飲んだ。啓介も何か言っていたような気はするが途中からの記憶はほとんどない。

「お前が幸せなら、それでいいんだ…」伸一は意識が遠のく中、心の中でそう呟いていた。自分が壊れても、優香と啓介が幸せであるなら、それでいいのだと、無理やり自分に言い聞かせた。伸一は孤独に耐えながら、友人と妻の幸せを願うことしかできなかった。彼が今望むのは、自分の痛みよりも、二人が新しい幸せを見つけること。それが伸一にできる最後の優しさだと思ったからだ。

伸一は涙を流しながら、ただ静かに夜が明けるのを待ち続けた。もう戻らない日々の中で、啓介と優香の幸せを願い、失ったものに背を向けて生きていくことを決めたのだった。

啓介バージョン → https://huroku-ch.com/1475

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