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バレないように

いつまでも若く禁断背徳
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三年前の秋、夫と一緒に訪れた会社のキャンプで、私は人生の境界線を越えてしまいました——。

夫の同期・亮太さん。その笑顔に触れたとき、私の中の何かが壊れたのです。

夫の上司がキャンプ好きと言うことで、毎年のように部下たちは嫌々参加させられていました。

夫は嫌そうでしたが、でも私は楽しみにしていたのです。

それは、夫の同期の亮太さんに会えるから。いつもは少し会話できるだけでも満足していたのですが、その日の夜の一時の迷いが、私の運命を大きく変えることになったのです……

「咲さん、寒くないですか?」そう気を使ってくれた亮太さんの横顔を今でもよく覚えています。

夫の会社の同僚である亮太さん夫妻は、とても優しい方々でした。

37歳の亮太さんには、二歳年上の奥さんがいます。

名前は美香さんと言って、お顔立ちだけではなく所作ひとつひとつまでとてもお綺麗な方なんです。

キャンプでの調理中に、美香さんは優しく微笑んでくれました。

その笑顔はどこか儚げで、でもとても美しかったことを覚えています。

わたしもこんなに綺麗だったらなぁ……

美香さんに会うたびにやるせない気持ちになってしまいます。

私は特別綺麗なわけでもなく、スタイルも最近はぷにっとしてきましたし、地味な外見をしていると思います。

彼女はあんなに綺麗だから、亮太さんのような素敵な方と結婚できたのでしょう。

でも実は、私は数年前から亮太さんに想いを寄せていました。

初めて夫が同僚の亮太さんを連れてきた時のことは、今でもはっきりと覚えています。

酔いつぶれた、夫を抱えて連れてきてくれたのです。

ベッドに夫を運ぶ際に亮太さんに手伝ってもらったのですが、夫が重たすぎてそのままベッドに倒れ込んだのです。

その時、亮太さんが私を支えてくれたときにお互いの体が重なるように倒れたのです。

あの時の亮太さんの温もり、優しさに心惹かれました。

その想いは今でも私の胸の中でくすぶっています。

キャンプ中も、彼から目を離せませんが、素敵な奥様がいる彼に、この想いを伝えることなどもちろんできません。

それに、私も既婚者なのですから身の程をわきまえないといけません。

なので私はいつもひっそりと、片思いを楽しんでいました。

そんな私の心など知らない彼は、無造作にときどき話しかけてきます。

「咲さんは、料理がお上手ですね」

「そんなことないです!奥様のほうがずっとお上手ですよ」

そんな会話をするだけでも嬉しくなってしまいます。

私の夫である透さんは無口な人ですし、最近は私を求めてくることもありません。当然のようにレスに悩んでいます。

共働きでお互いが疲れているということもありますが、ここまで相手してくれないと悲しいものです。

そしてお恥ずかしい話なのですが、私は人よりもちょっと欲が強いのです。

だから一人で自分を慰めることもあります。せっかく夫がいるのに……と日々もやもやしています。

そんなそっけない夫と違って、亮太さんはエネルギッシュで魅力的です。

肌艶も良くて、きっと夜の生活も充実しているのでしょう。

一緒にキャンプをしていても、夫には悪いですが彼の魅力にどんどん惹かれていきます。

どうせ叶わないなら、今日と明日だけは楽しもう。……そう思ってしまう自分がいました。

いつものようにキャンプでは一人二人と飲み過ぎて脱落していきました。

私はトイレに行きたくなったので、夫も寝てしまっていたのもあり一人で向かおうとしました。

その時、「トイレですか?僕も行きますよ」と、暗がりを心配する彼が付いてきてくれました。私たちは暗闇の中川のほとりを歩きます。

月の光だけが私たちを照らす中、私は彼の横顔を見ていました。

その美しい横顔は、私の胸を高鳴らせていきます。

この時間が永遠に続けばいいのに……そう願っても時は過ぎていきます。

気づいたらあともう少しで、この楽しい時間は終わりです。

今想いを伝えなければ、この先ずっと後悔するかもしれない。

そう思った私は、勇気を振り絞って言いました。

「あの、亮太さん……あなたのことが好きです!」

「えっ?」

「あ、あの、いきなりごめんなさい。迷惑でしたよね」

「いえ、そんなことないですよ。実は、僕も咲さんのこと気になってたんです。」

私は衝撃を受けて言葉が出ませんでした。

「嫁の美香は数年前から、全然相手してくれないんです。外面だけは良いんですけどね。」

そういう彼の表情は深く傷ついた人のものでした。

「だから、咲さんの裏表のない淑やかさに惚れていたんです。僕もあなたのことに惹かれていました」

そう言い、彼は私を抱きしめ、ささやいてきました。

驚きの言葉と行動に私は少しだけ体が硬直してしまいましたが、

「二人は寝てます。今のうちに……」

耳元で言ったその言葉に私は胸の高鳴りが抑えられず、自分から顔を近づけていました。

お互いの唇が重なり、舌を絡ませ合います。

彼の熱い吐息に私の理性は吹き飛んでしまいました。

そして、私達はそのまま夜の森の中で愛し合いました。

誰かが来るかもしれない、音が漏れるかもしれない、そんな背徳感から私達は理性と本能の狭間を彷徨っていました。

気付いた時にはキャンプも終わって自宅にいました。あの時のことは夢だったのかとさえ思える程です。

あの衝撃的な夜から、私たちは定期的に会ってデートをする仲になりました。もちろん不倫ですからお互いの配偶者には内緒です。

この密会がバレてしまったら大変ですからね。

「咲さん、今日も綺麗ですね」大好きな彼は夫と違って、いつも私を情熱的に求めてくれます。

それが嬉しくて体が喜んでしまいます。

「ありがとうございます……亮太さんも素敵ですよ」

もう、彼なしの人生なんて考えられません。

「咲さん、今週末はどうですか?」

「はい、ぜひ」

私はそのメッセージに、二つ返事で承諾しました。

隣には夫が寝ているのに、私はこんなメッセージのやりとりをしていました。

どう考えても最低な行為なのに、この背徳感に興奮してしまっています。

こんなにどうしようもない私を愛してくれるのは、きっと亮太さんだけなのです。

週末、私は夫に怪しまれないように理由を作って、普通の顔をして家を出てきました。

そして亮太さんの車に乗り込んで、出かけます。

「あの……今日はどんなことをするんですか?」

私がそう尋ねると彼は笑顔で言いました。

「そうですね……とりあえず朝まで楽しみましょうか」

その言葉に、私は期待で胸を膨らませながら頷きました。

もう戻ることは出来ません…

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